災害をもたらした気象事例(23) - 狩野川台風 -

災害をもたらした気象事例(23) - 狩野川台風 - 大雨
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はじめに

昭和20年以降に発生した気象災害(台風、風水害、雪害)のうち、死者・行方不明者数が100人以上の事例をまとめます。

一方、顕著な災害を起こした自然現象(火山、地震、気象)に対して気象庁は名称を定めています。気象災害(台風を除く)では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合に、台風では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合に名付けられます。

名称の付け方は気象災害(台風を除く)では「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名(豪雨、豪雪、暴風、高潮等)」で、台風では「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」が原則です。

この記事では、昭和33年(1958年)9月に被害をもたらした「狩野川台風(昭和33年台風第22号)」についてまとめます。この台風と前線の影響により南関東を中心に大雨による被害が発生し、特に、伊豆半島の狩野川では大規模な水害が発生して多数の犠牲者が出ました。

台風の経路

昭和33年台風第22号は9月21日にグアム島の近海で発生し、26日21時過ぎに伊豆半島の南端をかすめ、27日0時頃に神奈川県三浦半島を、1時頃に東京を通過し、9時に金華山沖に抜けて温帯低気圧になりました。その後、温帯低気圧は北上して北海道南端を通り、28日午後に根室付近を経て北海道東方洋上に抜けました。

狩野川台風(昭和33年台風第22号)経路
昭和33年台風第22号経路図(出典:気象庁ホームページ)

台風の概要

この台風は9月24日13時30分に中心気圧が877hPa、最大風速が75m/s以上で大型で猛烈な台風になり、関東南岸では26日午前から暴風になりました。北緯30度線を越えたあたりから急速に衰えたため、風による被害は少なかったものの、南海上にあった前線が活発化しながら北上したため、東海地方と関東地方では大雨となり、土砂災害や河川の氾濫が相次ぎました。上陸時の中心気圧は960hPa〜965hPaで、最大風速は50m/sでした。

主な観測地点での最低海面気圧、最大風速、最大瞬間風速は下表の通りです(最大風速が大きい順)(赤字はそれぞれの最高値(気圧は最小値))。最低海面気圧は石廊崎で955.2hPaでした。また、最大風速も石廊崎で37.8m/s(最大瞬間風速46.3m/s)で、最大瞬間風速は大島で50.2m/sでした。

観測地点最低海面気圧(hPa)最大風速(m/s)最大瞬間風速(m/s)
石廊崎(静岡県南伊豆町)955.237.846.3
大島(東京都大島町)963.536.050.2
三宅島(東京都三宅村)975.334.942.7
横浜(横浜市中区)968.228.836.5
浦河(北海道浦河町)990.628.146.4
石巻(宮城県石巻市)990.127.440.1
網代(静岡県熱海市)967.826.239.1
御前崎(静岡県御前崎町)969.726.133.2
むつ(青森県むつ市)992.325.533.4
八戸(青森県八戸市)992.824.533.0
伊良湖(愛知県渥美町)981.224.029.6
銚子(千葉県銚子市)981.622.827.9
深浦(青森県深浦町)993.622.335.5
三島(静岡県三島市)970.122.133.0
小名浜(福島県いわき市)986.621.028.2

また、9月26日~28日における期間降水量、最大日降水量、最大1時間降水量を、期間降水量が多かった順にまとめると下表になります(赤字はそれぞれの最高値)。期間降水量は大島で419.2mmに達したほか、関東地方、静岡県、東北地方で大雨になりました。最大日降水量も大島の419.2mmが最大で、最大1時間降水量も大島の88.0mmが最大でした。

観測地点期間降水量(mm)最大日降水量(mm)最大1時間降水量(mm)
大島(東京都大島町)419.2419.288.0
東京(東京都千代田区)371.9371.976.0
秩父(埼玉県秩父市)288.7288.725.7
横浜(横浜市中区)287.2287.239.1
熊谷(埼玉県熊谷市)277.2277.237.5
館野(茨城県つくば市)230.1230.158.3
網代(静岡県熱海市)215.1215.164.6
日光(栃木県日光市)209.9209.618.8
宮古(岩手県宮古市)201.8146.319.0
仙台(仙台市宮城野区)182.4112.521.6
前橋(群馬県前橋市)180.0180.016.5
白河(福島県白河市)175.7175.723.1
広尾(北海道広尾町)174.8119.712.6
石廊崎(静岡県南伊豆町)174.6174.655.0
八戸(青森県八戸市)164.6132.120.2

被害状況

この台風により伊豆半島中部で集中豪雨になり、大量の水が流れ込んだ狩野川が氾濫し、狩野川流域で死者・行方不明者が853人、家屋の全壊・流出・半壊が8,219棟という未曽有の被害になりました。また、神奈川県や東京都でも市街地の浸水や造成地のがけ崩れなどにより大きな被害がありました。

全体の被害は死者が888人、行方不明者が381人、負傷者が1,138人、住家の全壊が2,118棟、半壊が2,175棟、床上浸水が132,227棟、床下浸水が389,488棟などでした。

狩野川台風は気象庁が名称を定めた気象現象の2番目でもあります。

昭和28年台風第13号に関わる自然災害伝承碑が、静岡県伊豆市、東京都北区などに残されています。

狩野川台風殉難者慰霊碑 
狩野川台風殉難者慰霊碑(静岡県伊豆市)(出典:国土地理院ホームページ)

まとめ

狩野川台風(昭和33年台風第22号)についてまとめます。

  • 狩野川台風は伊豆半島の南端をかすめ、神奈川県三浦半島から東京を通過し、関東地方を北上しました
  • 関東地方、静岡県、東北地方で大雨になり、特に伊豆半島中部で集中豪雨になり狩野川が氾濫し、狩野川流域で死者・行方不明者が853人、家屋の全壊・流出・半壊が8,219棟の被害でした
  • 全体の被害は死者が888人、行方不明者が381人、負傷者が1,138人、住家の全壊が2,118棟、半壊が2,175棟、床上浸水が132,227棟、床下浸水が389,488棟などでした

この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
防災科学技術研究所ホームページ
国土交通省 中部地方整備局 沼津河川国道事務所ホームページ
国土地理院ホームページ

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