昭和20年以降に発生した気象災害(台風、風水害、雪害)のうち、死者・行方不明者数が100人以上の事例をまとめます。
一方、顕著な災害を起こした自然現象(火山、地震、気象)に対して気象庁は名称を定めています。気象災害(台風を除く)では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合に、台風では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合に名付けられます。
名称の付け方は気象災害(台風を除く)では「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名(豪雨、豪雪、暴風、高潮等)」で、台風では「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」が原則です。
この記事では、昭和28年(1953年)6月23日から30日にかけて被害をもたらした「梅雨前線」についてまとめます。九州北部を中心に大水害をもたらし、「昭和28年西日本大水害」とも呼ばれています。
概要
昭和28年(1953年)6月22日に揚子江中流域で発生した低気圧が発達しながら東北東に進み、23日午前に対馬海峡を通過し、25日には沿海州に達しました。この低気圧が対馬海峡を通過したときに西日本で大雨になり、前線近くの東海から関東地方でも23~24日に強い雨が降りました。
また、25日に朝鮮半島で発生した低気圧は28日まで朝鮮半島付近にあり、その後日本海を東に進んで30日に秋田付近で消滅しました。この低気圧に伴う梅雨前線の活動により九州北部を中心に大雨になり、福岡、佐賀、大分、山口県で甚大な被害が発生しました。

6月23日~30日における期間降水量、最大日降水量、最大1時間降水量を、期間降水量が多かった順にまとめると下表になります(赤字はそれぞれの最高値)。阿蘇山、日田、大分、熊本、福岡、平戸で期間降水量が600mmを超える豪雨になりました。また、九州、山口県、四国、和歌山県で300mmを超える大雨でした。
| 観測地点 | 期間降水量(mm) | 最大日降水量(mm) | 最大1時間降水量(mm) |
|---|---|---|---|
| 阿蘇山(熊本県白水村) | 814.0 | 432.3 | 63.0 |
| 日田(大分県日田市) | 719.2 | 292.4 | 55.5 |
| 大分(大分県大分市) | 718.7 | 223.1 | 41.3 |
| 熊本(熊本県熊本市) | 634.6 | 411.9 | 59.2 |
| 福岡(福岡市中央区) | 623.5 | 307.8 | 63.3 |
| 平戸(長崎県平戸市) | 604.3 | 359.5 | 69.4 |
| 佐賀(佐賀県佐賀市) | 591.3 | 366.5 | 72.3 |
| 佐世保(長崎県佐世保市) | 563.9 | 251.3 | 55.0 |
| 下関(山口県下関市) | 531.6 | 265.7 | 77.4 |
| 飯塚(福岡県飯塚市) | 492.9 | 235.5 | 32.3 |
| 都城(宮崎県都城市) | 428.3 | 105.6 | 50.2 |
| 宇和島(愛媛県宇和島市) | 392.8 | 132.3 | 37.0 |
| 潮岬(和歌山県串本町) | 338.7 | 154.0 | 57.0 |
| 屋久島(鹿児島県上屋久町) | 315.2 | 157.7 | 29.0 |
| 宮崎(宮崎県宮崎市) | 312.3 | 111.1 | 31.3 |
| 室戸岬(高知県室戸市) | 308.1 | 143.6 | 51.8 |
| 油津(宮崎県日南市) | 300.6 | 73.4 | 38.7 |
被害状況
全体の被害は死者が748人、行方不明者が265人、負傷者が2,720人、住家全壊が5,699棟、半壊が11,671棟、床上浸水が199,979棟、床下浸水が254,664棟などで、特に熊本、福岡、佐賀、大分、山口で甚大な被害になりました。
特に、筑後川流域では122ヶ所で破堤して洪水となり、死者数が147 人、流出及び全半壊が約12,800棟、床上浸水が約49,200棟、床下浸水が約46,300棟で、被災者数が約54万人でした。また、熊本県では白川が氾濫し、死者・行方不明者が422人、流失及び全半壊が9,102棟、浸水が31,145棟、橋梁流失が85橋で、被災者数が約39万人でした。
昭和28年西日本大水害に関わる自然災害伝承碑が、福岡県うきは市、久留米市、朝倉市、直方市、佐賀県鳥栖市などに残されています。

まとめ
昭和28年6月の梅雨前線についてまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
九州災害履歴情報データベース
国土地理院ホームページ




コメント