災害をもたらした気象事例(26) - 伊勢湾台風 -

災害をもたらした気象事例(26) - 伊勢湾台風 - 大雨
この記事は約7分で読めます。
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

はじめに

昭和20年以降に発生した気象災害(台風、風水害、雪害)のうち、死者・行方不明者数が100人以上の事例をまとめます。

一方、顕著な災害を起こした自然現象(火山、地震、気象)に対して気象庁は名称を定めています。気象災害(台風を除く)では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合に、台風では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合に名付けられます。

名称の付け方は気象災害(台風を除く)では「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名(豪雨、豪雪、暴風、高潮等)」で、台風では「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」が原則です。

この記事では、昭和34年(1959年)9月に被害をもたらした「伊勢湾台風(昭和34年台風第15号)」についてまとめます。この台風は伊勢湾に大規模な高潮被害を引き起こし、戦後最大の犠牲者をもたらしました。

台風の経路

伊勢湾台風(昭和34年台風第15号)は9月21日21時ににマリアナ諸島の東海上で発生し、中心気圧が1日に91hPa下がるなど猛烈に発達し、非常に広い暴風域を伴いました。最盛期を過ぎた後もあまり衰えることなく北上し、和歌山県潮岬の西方から紀伊半島に上陸しました。その後、奈良県と三重県の県境を通り、6時間あまりで本州を縦断し、24時過ぎに富山市の東方から日本海に抜けました。そして、衰えながら北陸、東北地方の日本海沿いを北上し、東北地方北部を通って太平洋側に出て、27日15時に根室の南の海上に達し、21時に温帯低気圧になりました。

1959年台風第15号
伊勢湾台風(昭和34年台風第15号)経路図(出典:気象庁ホームページ)

台風の概要

この台風は9月22日15時にサイパン島の北東約150kmの海上で発生し、中心気圧が970hPaで最大風速が33m/sでした。23日9時には中心気圧が905hPaとなりました。23〜26日には中心気圧が895〜910hPaで最大風速が60〜75m/s、風速が25m/s以上の暴風圏の直径が600〜800kmに達し、この頃が台風の最盛期でした。 台風上陸時の潮岬の気圧は929.5hPaでした。

主な観測地点での最低海面気圧、最大風速、最大瞬間風速は下表の通りです(最大風速が大きい順)(赤字はそれぞれの最高値(気圧は最小値))。勢力が強く暴風域も広かったために広い範囲で強風が吹き、伊良湖(愛知県渥美町)で最大風速が45.4m/s(最大瞬間風速55.3m/s)、名古屋で37.0m/s(同45.7m/s)を観測するなど、九州から北海道にかけてのほぼ全国で20m/sを超える最大風速と30m/sを超える最大瞬間風速を観測しました。

観測地点最低海面気圧(hPa)最大風速(m/s)最大瞬間風速(m/s)
伊良湖(愛知県渥美町)964.645.455.3
洲本(兵庫県洲本市)959.142.349.2
名古屋(名古屋市千種区)958.237.045.7
津(三重県津市)944.436.851.3
舞鶴(京都府舞鶴市)968.736.551.1
御前崎(静岡県御前崎町)986.035.644.4
潮岬(和歌山県串本町)929.233.448.5
岐阜(岐阜県岐阜市)956.032.544.2
津山(岡山県津山市)979.030.641.5
甲府(山梨県甲府市)980.129.837.2
神戸(神戸市中央区)962.729.334.8
石廊崎(静岡県南伊豆町)992.029.235.6
大島(東京都大島町)989.728.240.5
尾鷲(三重県尾鷲市)939.428.151.5
室戸岬(高知県室戸市)961.327.741.1
東京(東京都千代田区)989.127.037.0
八戸(青森県八戸市)982.426.734.8
酒田(山形県酒田市)973.726.437.5
浜松(静岡県浜松市)980.526.442.0
徳島(徳島県徳島市)966.726.436.3
浦河(北海道浦河町)988.126.136.7
広島(広島市中区)985.226.135.5
萩(山口県萩市)995.526.127.7
むつ(青森県むつ市)986.725.833.8
敦賀(福井県敦賀市)959.625.729.9
多度津(香川県多度津町)979.425.730.3
秋田(秋田県秋田市)977.725.1

また、9月26日~27日における期間降水量、最大日降水量、最大1時間降水量を、期間降水量が多かった順にまとめると下表になります(赤字はそれぞれの最高値)。期間降水量は日光の317.6mmが最大で、ついで舞鶴の260.5mmでした。最大日降水量も日光の317.6mmが最大で、最大1時間降水量は秩父の72.0mmが最大でした。

観測地点期間降水量(mm)最大日降水量(mm)最大1時間降水量(mm)
日光(栃木県日光市)317.6317.640.6
舞鶴(京都府舞鶴市)260.5247.242.2
河口湖(山梨県河口湖町)239.2239.232.1
秩父(埼玉県秩父市)233.9233.972.0
豊岡(兵庫県豊岡市)216.4213.336.1
尾鷲(三重県尾鷲市)203.0203.045.0
彦根(滋賀県彦根市)195.9195.846.9
上野(三重県上野市)195.5195.527.6
鳥取(鳥取県鳥取市)179.0178.724.7

さらに、9月26日の検潮所での高潮(最大潮位偏差)の観測結果は下表の通りです。名古屋で3.5m、尾鷲で2.0mの高潮を観測しました。

観測地点最大潮位偏差(m)
名古屋(愛知県)3.5
尾鷲(三重県)2.0
浦神(和歌山県)1.8
舞阪(静岡県)1.3
鳥羽(三重県)1.2
東京(東京都)1.0

被害状況

伊勢湾台風により、死者・行方不明者数が5,098人で台風災害としては明治以降最多の被害になりました。この台風による犠牲者は全国32道府県に及びましたが、高潮の発生した愛知・三重の2県に集中し、83%に達しました。つまり、紀伊半島沿岸一帯と伊勢湾沿岸で高潮、強風、河川の氾濫により甚大な被害となり、特に愛知県では名古屋市や弥富町、知多半島で高潮により短時間のうちに大規模な浸水が起こり、死者・行方不明者が3,300人以上の大きな被害でした。また、三重県でも桑名市などで同様の高潮の被害となり、死者・行方不明者が1,200人以上でした。日本最大のゼローメートル地帯にもかかわらず、当時は防災対策が十分になされていなかったことが被害が大きくなった要因と言われています。さらに、台風が通過した奈良県や岐阜県でも、それぞれ100人前後の死者・行方不明者がありました。

全体の被害は死者が4,697人、行方不明者が401人、負傷者が38,921人、住家の全壊が40,838棟、半壊が113,052棟、流失が4,703棟、全焼が25棟、半焼が15棟、一部破損が680,035棟、床上浸水が157,858棟、床下浸水が205,753棟などでした。

なお、伊勢湾台風は気象庁が名称を定めた気象現象の4事例目です。

伊勢湾台風に関わる自然災害伝承碑が、愛知県半田市、弥富市、名古屋市、津島市、刈谷市、東海市、飛島村、三重県四日市市、桑名市、名張市、木曽岬町、岐阜県恵那市などに残されています。

伊勢湾台風殉難之塔
伊勢湾台風殉難之塔(愛知県弥富市)(出典:国土地理院ホームページ)

まとめ

伊勢湾台風(昭和34年台風第15号)についてまとめます。

  • 伊勢湾台風(昭和34年台風第15号)は和歌山県潮岬付近に上陸し、奈良県と三重県の県境を通り、富山市付近から日本海に抜け、東北地方北部を通って太平洋側に出て、根室の南の海上に達しました
  • 勢力が強く暴風域も広かったために広い範囲で強風が吹き、伊良湖(愛知県渥美町)で最大風速が45.4m/s(最大瞬間風速55.3m/s)、名古屋で37.0m/s(同45.7m/s)を観測しました
  • 死者・行方不明者数が5,098人で台風災害としては明治以降最多の被害になりました
  • 犠牲者は高潮の発生した愛知・三重の2県に集中し、83%に達しました
  • 全体の被害は死者が4,697人、行方不明者が401人、負傷者が38,921人、住家の全壊が40,838棟、半壊が113,052棟、流失が4,703棟、全焼が25棟、半焼が15棟、一部破損が680,035棟、床上浸水が157,858棟、床下浸水が205,753棟などでした

この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
防災科学技術研究所ホームページ
内閣府防災情報のページ
国土地理院ホームページ

コメント

にほんブログ村 その他生活ブログ 地震・災害へ

にほんブログ村 その他生活ブログ 防犯・防災グッズ へ

にほんブログ村 住まいブログ 防犯・防災へ

タイトルとURLをコピーしました