はじめに
昭和20年以降に発生した気象災害(台風、風水害、雪害)のうち、死者・行方不明者数が100名以上の事例をまとめます。
一方、顕著な災害を起こした自然現象(火山、地震、気象)に対して気象庁は名称を定めています。気象災害(台風を除く)では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合に、台風では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合に名付けられます。
名称の付け方は気象災害(台風を除く)では「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名(豪雨、豪雪、暴風、高潮等)」で、台風では「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」が原則です。
この記事では、1948年に発生した「アイオン台風」についてまとめます。この台風は東北の太平洋側に大雨をもたらし、北上川や閉伊川が氾濫するなど前年のカスリーン台風の被害を上回る大災害になりました。
台風の経路
アイオン台風(昭和23年台風第21号)は昭和23年(1948年)9月16日に伊豆半島南部をかすめて東京都大島付近を通り、千葉県富崎(館山市)と木更津市の間に上陸しました。その後、銚子市付近から太平洋に出て、金華山の東約100kmの海上を通り、北海道南東沖からベーリング海に進みました。

台風の概要
アイオン台風は中心付近で風が強く、千葉県を中心に家屋の倒壊が多く発生しました。主な観測地点での最低海面気圧、最大風速、最大瞬間風速は下表の通りです(最大風速が大きい順)(赤字はそれぞれの最高値(気圧は最小値))。
| 観測地点 | 最低海面気圧(hPa) | 最大風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) |
| 銚子(千葉県銚子市) | 963.2 | 48.0 | |
| 富崎(千葉県館山市) | 959.8 | 46.7 | 60.1 |
| 勝浦(千葉県勝浦市) | 967.7 | 42.5 | |
| 石廊崎(静岡県南伊豆町) | 948.0 | 40.2 | 43.6 |
| 大島(東京都大島町) | 942.7 | 39.0 |
この台風により前線の活動が活発となり、東北地方の太平洋側で大雨になりました。岩手県では北上川やその支流が氾濫するなど、前年のカスリーン台風による被害を上回る災害になりました。
9月15日~9月17日における期間降水量、最大日降水量、最大1時間降水量を、期間降水量が多かった順にまとめると下表になります。仙台の最大1時間降水量が突出していることがわかります(赤字はそれぞれの最高値)。
| 観測地点 | 期間降水量(mm) | 最大日降水量(mm) | 最大1時間降水量(mm) |
| 日光(栃木県日光市) | 537.9 | 519.2 | 42.2 |
| 河口湖(山梨県河口湖町) | 454.8 | 377.5 | 47.4 |
| 仙台(仙台市宮城野区) | 351.1 | 312.7 | 94.3 |
| 網代(静岡県熱海市) | 310.6 | 283.7 | 60.0 |
| 三島(静岡県三島市) | 306.5 | 254.1 | 31.0 |
| 御前崎(静岡県御前崎町) | 264.2 | 197.5 | 52.7 |
| 甲府(山梨県甲府市) | 255.1 | 223.3 | 41.2 |
| 宮古(岩手県宮古市) | 249.3 | 146.9 | 35.7 |
| 秩父(埼玉県秩父市) | 248.2 | 206.3 | 29.9 |
| 静岡(静岡県静岡市) | 242.4 | 233.7 | 35.2 |
被害状況
全体の被害は死者が512人、行方不明者が326人、負傷者が1,956人、住家の全壊が5,889棟、半壊が12,127棟、床上浸水が44,867棟、床下浸水が75,168棟などでした。
北上川や閉伊川の氾濫により一関市と宮古市を中心に700人を超える死者・行方不明者が出ました。特に宮古市川井地区(旧川井村)では人家密集地区の8割が流失する甚大な被害でした。また、山田線は鉄橋流失が14ヶ所と寸断され、復旧は6年後の昭和29年11月でした。
まとめ
アイオン台風についてまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
宮古市災害資料アーカイブ



コメント