はじめに
昭和20年以降に発生した気象災害(台風、風水害、雪害)のうち、死者・行方不明者数が100人以上の事例をまとめます。
一方、顕著な災害を起こした自然現象(火山、地震、気象)に対して気象庁は名称を定めています。気象災害(台風を除く)では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合に、台風では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合に名付けられます。
名称の付け方は気象災害(台風を除く)では「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名(豪雨、豪雪、暴風、高潮等)」で、台風では「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」が原則です。
この記事では、昭和26年(1951年)10月に被害をもたらした「ルース台風」についてまとめます。
台風の経路
ルース台風(昭和26年台風第15号)は昭和26年(1951年)10月9日にグアム島の西海上で発生しました。13日夜に宮古島と沖縄本島の間を通って東シナ海に入り、14日19時頃に鹿児島県串木野市付近に上陸して九州を縦断し、22時過ぎに国東半島付近を通って周防灘に出ました。そして、山口県防府市に上陸し、島根県浜田市の西から日本海に抜け、北陸・東北地方を通り、15日の夕方に三陸沖に進みました。

台風の概要
この台風は、935hPaと強い勢力で上陸したために鹿児島では強風や高潮による被害があり、山口県と広島県を中心に大雨による甚大な被害になりました。
主な観測地点での最低海面気圧、最大風速、最大瞬間風速は下表の通りです(最大風速が大きい順)(赤字はそれぞれの最高値(気圧は最小値))。枕崎(鹿児島県枕崎市)では最低海面気圧が944.5hPaで最大風速が42.5m/s、屋久島(鹿児島県上屋久町)では最大瞬間風速が54.2m/sなど、南九州を中心に強風になりました。
| 観測地点 | 最低海面気圧(hPa) | 最大風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) |
|---|---|---|---|
| 枕崎(鹿児島県枕崎市) | 944.5 | 42.5 | |
| 種子島(鹿児島県西之表市) | 968.0 | 36.4 | 41.4 |
| 鹿児島(鹿児島県鹿児島市) | 947.9 | 35.1 | 46.5 |
| 都城(宮崎県都城市) | 957.2 | 34.7 | 51.4 |
| 屋久島(鹿児島県上屋久町) | 960.3 | 34.4 | 54.2 |
| 広島(広島市中区) | 966.0 | 33.9 | 49.0 |
| 油津(宮崎県日南市) | 964.7 | 32.8 | 39.7 |
| 宮古島(沖縄県平良市) | 965.5 | 32.6 | |
| 福岡(福岡市中央区) | 966.7 | 32.5 | 35.1 |
| 大島(東京都大島町) | 988.3 | 29.8 | |
| 佐世保(長崎県佐世保市) | 966.6 | 29.8 | 40.2 |
また、10月10日~15日における期間降水量、最大日降水量、最大1時間降水量を、期間降水量が多かった順にまとめると下表になります(赤字はそれぞれの最高値)。屋久島(鹿児島県上屋久町)では期間降水量が639.3mm、最大日降水量が340.3mmでした。また、宮崎市では最大日降水量が341.9mm、最大1時間降水量が87.0mmでした。さらに、中国地方でも大雨になりました。
| 観測地点 | 期間降水量(mm) | 最大日降水量(mm) | 最大1時間降水量(mm) |
|---|---|---|---|
| 屋久島(鹿児島県上屋久町) | 639.3 | 340.3 | 50.0 |
| 宮崎(宮崎県宮崎市) | 507.7 | 341.9 | 87.0 |
| 大分(大分県大分市) | 304.3 | 232.4 | 22.5 |
| 尾鷲(三重県尾鷲市) | 297.8 | 239.4 | 43.8 |
| 平戸(長崎県平戸市) | 290.9 | 197.8 | 23.0 |
| 飯塚(福岡県飯塚市) | 256.7 | 158.3 | 17.5 |
| 福岡(福岡市中央区) | 254.3 | 171.9 | 21.4 |
| 萩(山口県萩市) | 207.3 | 131.8 | 26.3 |
| 松江(島根県松江市) | 204.3 | 132.7 | |
| 西郷(島根県西郷町) | 200.8 | 124.8 | 23.8 |
| 境(鳥取県境港市) | 198.9 | 99.2 | 38.2 |
| 厳原(長崎県厳原町) | 192.4 | 142.4 | 17.7 |
| 広島(広島市中区) | 189.8 | 159.1 | 26.2 |
| 下関(山口県下関市)) | 180.7 | 123.8 | 13.4 |
さらに、9月3日に発生した高潮の観測結果を下表にまとめます。瀬戸内海で潮位が高くなりました。
| 観測地点 | 最大潮位偏差(m) |
|---|---|
| 高松(香川県) | 1.3 |
| 神戸(兵庫県) | 1.2 |
| 呉(広島県) | 1.2 |
| 宇野(岡山県) | 1.2 |
| 松山(愛媛県) | 1.2 |
| 大阪(大阪府) | 1.1 |
被害状況
全体の被害は死者・行方不明者が971人、負傷者が4,215人、住家の全壊が26,778棟、半壊が60,009棟、一部損壊が148,378棟、床上浸水が39,067棟、床下浸水が114,959棟などでした。
特に山口県の錦川流域での被害が大きく、山口県での死者・行方不明者は417人でした。また、鹿児島県で209人、広島県で132人の死者・行方不明者でした。
まとめ
ルース台風についてまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
防災科学技術研究所ホームページ



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