はじめに
昭和20年以降に発生した気象災害(台風、風水害、雪害)のうち、死者・行方不明者数が100人以上の事例をまとめます。
一方、顕著な災害を起こした自然現象(火山、地震、気象)に対して気象庁は名称を定めています。気象災害(台風を除く)では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合に、台風では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合に名付けられます。
名称の付け方は気象災害(台風を除く)では「元号年+月+顕著な被害が起きた地域名+現象名(豪雨、豪雪、暴風、高潮等)」で、台風では「元号年+顕著な被害が起きた地域・河川名+台風」が原則です。
この記事では、昭和28年(1952年)9月に被害をもたらした「昭和28年台風第13号」についてまとめます。
台風の経路
昭和28年台風第13号は9月18日9時にグアム島の南東方洋上で台風になり、24日9時に南大東島の東方約150kmを通過し、15時に潮岬の東方約20kmを通過し、紀伊半島沿いに熊野灘を進んで17時過ぎに志摩半島に上陸し、伊勢湾を経て18時半頃に知多半島に再上陸しました。その後、碧南市の北側、岡崎市の南側を通過し、20時過ぎに長野県飯田市の西を、21時に諏訪付近を、22時に長野と軽井沢の間を、26日0時に新潟の東を通り、6時に宮古と八戸の間から三陸沖に抜けました。そして、26日9時に襟裳岬の南方約60kmを通り、15時に根室付近に達しました。

台風の概要
四国から関東地方にかけての広い範囲で20~30m/sの最大風速を観測しました。
主な観測地点での最低海面気圧、最大風速、最大瞬間風速は下表の通りです(最大風速が大きい順)(赤字はそれぞれの最高値(気圧は最小値))。潮岬で最低海面気圧が947.6hPaでした。また、洲本で最大風速37.0m/s(最大瞬間風速42.3m/s)、石廊崎で32.9m/s(同43.2m/s)でした。
| 観測地点 | 最低海面気圧(hPa) | 最大風速(m/s) | 最大瞬間風速(m/s) |
|---|---|---|---|
| 洲本(兵庫県洲本市) | 976.7 | 37.0 | 42.3 |
| 石廊崎(静岡県南伊豆町) | 986.5 | 32.9 | 43.2 |
| 御前崎(静岡県御前崎町) | 982.1 | 31.6 | 38.9 |
| 大島(東京都大島町) | 987.0 | 30.3 | 38.9 |
| 伊良湖(愛知県渥美町) | 956.8 | 30.0 | |
| 潮岬(和歌山県串本町) | 947.6 | 29.1 | 41.7 |
| 室戸岬(高知県室戸市) | 974.5 | 27.7 | 39.6 |
| 津山(岡山県津山市) | 986.7 | 27.1 | 41.9 |
| 網代(静岡県熱海市) | 984.9 | 27.0 | 36.2 |
| 勝浦(千葉県勝浦市) | 989.3 | 27.0 | 33.5 |
また、9月22日~26日における期間降水量、最大日降水量、最大1時間降水量を、期間降水量が多かった順にまとめると下表になります(赤字はそれぞれの最高値)。期間降水量は舞鶴で507.0mmに達したほか、四国、近畿、東海、北陸地方で200mmを超えました。最大日降水量も舞鶴の445.5mmが最大で、最大1時間降水量は名古屋の65.6mm(期間降水量:192.6mm、最大日降水量:160.6mm)が最大でした。
| 観測地点 | 期間降水量(mm) | 最大日降水量(mm) | 最大1時間降水量(mm) |
|---|---|---|---|
| 舞鶴(京都府舞鶴市) | 507.0 | 445.5 | 60.0 |
| 尾鷲(三重県尾鷲市) | 407.7 | 229.5 | 60.0 |
| 日光(栃木県日光市) | 397.8 | 295.1 | 49.5 |
| 室戸岬(高知県室戸市) | 382.6 | 185.2 | 60.4 |
| 徳島(徳島県徳島市) | 332.6 | 129.9 | 21.0 |
| 敦賀(福井県敦賀市) | 310.6 | 173.8 | 22.2 |
| 清水(高知県土佐清水市) | 256.0 | 122.9 | 28.6 |
| 高松(香川県高松市) | 251.6 | 142.5 | 20.8 |
| 豊岡(兵庫県豊岡市) | 238.0 | 111.7 | 16.4 |
| 潮岬(和歌山県串本町) | 226.5 | 152.9 | 31.8 |
| 上野(三重県上野市) | 225.2 | 151.0 | 25.9 |
| 津(三重県津市) | 224.6 | 121.3 | 25.7 |
| 福井(福井県福井市) | 221.6 | 117.9 | 26.8 |
| 和歌山(和歌山県和歌山市) | 219.3 | 116.9 | 27.3 |
| 境(鳥取県境港市) | 215.4 | 69.9 | 25.9 |
| 金沢(石川県金沢市) | 214.4 | 147.3 | 26.2 |
| 河口湖(山梨県河口湖町) | 212.0 | 132.9 | 23.6 |
| 多度津(香川県多度津町) | 208.9 | 98.8 | 17.0 |
| 岐阜(岐阜県岐阜市) | 207.9 | 117.9 | 24.3 |
被害状況
接近する前から秋雨前線が活発化し、さらに強い勢力を保ったまま上陸したため台風の進路に当たった地方では暴風雨になりました。宇治川や桂川などの河川が決壊し、近畿地方を中心に甚大な被害が発生し、被災人口は大阪府で738,797人、京都府で321,029人、滋賀県で189,001人でした。また、三重県で高潮被害が発生するなど、愛知県や福井県でも大きな被害が発生しました。
全体の被害は死者が393人、行方不明者が85人、負傷者が2,559人、住家の全壊が8,604棟、半壊が17,467棟、流失が2,615棟、一部破損が60,321棟、焼失が6棟、床上浸水が144,300棟、床下浸水が351,575棟などでした。京都府で117人、福井県で104人の死者・行方不明者が発生し、大きな被害になりました。
昭和28年台風第13号に関わる自然災害伝承碑が、福井県小浜市、若狭町、京都府福知山市、綾部市、滋賀県大津市などに残されています。

まとめ
昭和28年台風第13号についてまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
防災科学技術研究所ホームページ
国土交通省淀川河川事務所ホームページ
国土地理院ホームページ



コメント