・大雨による災害の種類を知りたい方
・洪水の種類を知りたい方
・外水氾濫と治水事業について知りたい方
・内水氾濫の種類と対策を知りたい方
はじめに
大雨が降ると身近なところでは電車が運休したり、道路が通行止めになったりして生活に影響を与えます。また、近年では台風や集中豪雨による災害が増えてきており、特に線状降水帯が発生することによる大雨での災害には甚大なものもあります。
大雨による災害は大きく分けると「洪水」と「土砂災害」です。この記事では洪水についてまとめます。
洪水の原因
洪水はどうして起きるのかなぁ
洪水には外水氾濫と内水氾濫があります。外水氾濫は川から水が溢れたり、堤防が決壊したりすることにより起こります。内水氾濫は街中の排水が間に合わずに地下水路などから水が溢れ出すことにより起こります。
外水氾濫
外水氾濫とは
外水氾濫は川から水が溢れたり、堤防が決壊したりすることによって起こる洪水です。外水氾濫では大量の水が一気に住宅地や農地に流入し浸水被害をもたらします。そのため、物的被害だけではなく人的被害をもたらすこともあり、また、泥水が流れ込むため住宅が土砂に埋もれたり、水が引いた後に泥の撤去が必要になったりし、復旧に時間を要することもあります。
外水氾濫による洪水の対策
古来から日本の町は扇状地に位置していることが多く、そのため河川の氾濫による洪水での被害が多く発生していました。そして現代でも河川の改修やダムの設置といった治水事業のよる洪水対策が国や地方自治体により行われています。
治水事業より主要な河川での洪水発生は減少しましたが、近年多発する集中豪雨で河川が氾濫し、水害が発生することがあります。
歴史的な治水事業の例
河川の氾濫による洪水の対策は古くから行われており、例えば、戦国大名の武田信玄が信玄堤を作ったり、徳川家康が利根川と荒川の河川の付け替えをすることで江戸の開発を行いました。
信玄堤は山梨県甲斐市(旧竜王町)の釜無川と御勅使川の合流地点に設けられた堤防で、下図のように御勅使川の流れを「将棋頭」と呼ばれる石組みを築いてそこに当てることにより二分し、その水が釜無川と合流するところに石組みを築くことにより水勢を削いで釜無川と合流させ、さらに信玄堤と呼ばれる1800メートルにも達する堤防を築くことにより洪水を防ぎました。
さらに信玄堤公園の近くで見ることができる「聖牛」と呼ばれる材木を組み合わせた三角錐の構造物でも水勢を弱めて洪水対策をしました。
また、徳川家康は利根川と荒川の付け替え治水事業、いわゆる「利根川の東遷 荒川の西遷」を行いました。徳川家康が豊臣秀吉の命により移封された頃の江戸は、葦の生い茂る低湿地帯で未開の地で洪水が多発していました。そこで徳川家康が最初に着手したのが当時東京湾に流れていた利根川を太平洋岸の銚子に、また荒川を西に移すことにより江戸の町を洪水から防ぐことでした。これらの治水事業は徳川家康の死去後も続けられ、完成により江戸は人口が100万の大都市になりました。
現代の治水事業の例
現代でもダムや河川の改修により洪水対策が進められています。例えば、「スーパー堤防」と呼ばれる市街地側に盛り土して幅を広げた堤防を整備しています。スーパー堤防は丈夫かつ斜面を緑地や公園に利用できる堤防で、万が一の洪水の時にも大きな被害を防ぐことができます。
内水氾濫
内水氾濫とは
テレビのニュースなどでマンホールから噴水のように水が噴き出している様子を見たことがあるのではないでしょうか。これは内水氾濫による現象のひとつです。
内水氾濫は雨水の排水先の河川の水位が高くなった時や、集中豪雨などにより下水道等の排水施設の能力を超えた降水量になった時に発生する洪水、つまり、雨水を排水できなくなったために浸水する現象です。河川の増水により発生する内水氾濫を湛水型、排水能力が追い付かずに発生する内水氾濫を氾濫型と言います。
湛水型内水氾濫のメカニズム
雨水は下水道(雨水管)を通り河川などに排水します。
平時には下図のように河川の水位が下水道の水門よりも低いため、下水道の水は河川に流れ込みます。
しかし、大雨などにより河川の水位が上昇して下水道の水門より高くなると、下図のように水門を閉じて河川の水の下水道への流入を防ぎます。そのため、下水道の水を放流することができなくなります。
この状態が続くと、下図のように低地のマンホールなどから水が溢れ出し、図中の赤丸の地域が浸水します。これが湛水型内水氾濫による洪水です。
湛水型内水氾濫の対策
湛水型内水氾濫は、下図のように排水ポンプ施設を設置することにより対策が行われています。基準となる雨量は1時間に50ミリメートルで、それ以下の雨量であれば湛水型内水氾濫を抑止できます。
氾濫型内水氾濫のメカニズム
上記のように1時間に50ミリメートル以下の雨では湛水型内水氾濫の発生を抑制できますが、最近では線状降水帯による集中豪雨で1時間に50ミリメートルを超える雨量になったり、河川の水位の上昇がないのにゲリラ豪雨で内水氾濫することがあります。
特に都市部では地面のほとんどがアスファルトやコンクリートで覆われており、降った雨が地中に浸透しないため、雨水の排出は下水道に頼らざるを得ません。そのためゲリラ豪雨などで1時間に50ミリメートルを超える想定以上の雨量になったり、そこまでの雨量ではなくても道路などの排水溝が落ち葉やゴミなどで詰まっていたりすると氾濫型内水氾濫が発生します。
なお、湛水型内水氾濫が河川に近いところで発生するのに対し、氾濫型内水氾濫は近くに河川がないところでも発生するため、都市型の水害とも言われます。
家庭での洪水対策
どんな洪水対策があるのだろう
個人の力で洪水の発生は防ぐことはできないので、国や自治体による堤防や排水施設の増強などのインフラ整備に頼らざるを得ません。しかし、万が一洪水が発生した時に被害を低減する対策はあります。
対策のひとつは土嚢を準備しておくことです。大雨が降りそうな時に土嚢を玄関や勝手口に置くことにより浸水を防ぐことができます。
また、内水氾濫の場合にはマンホールだけではなく家のトイレや風呂などの排水溝から下水が逆流することもあります。下水の逆流に備えてゴミ袋などで水嚢を作り設置することが対策になります。
さらに、家の周辺の道路の側溝や雨水ますの吸込み口に落ち葉やごみがあれば除去することが大きな対策になります。排水溝がゴミ等で詰まっていたら大雨でなくても水が溢れ出し浸水することになります。排水溝にタバコの吸い殻を捨てる人がいますが、排水溝の詰まりの原因になるので決して許される行為ではありません。
まとめ
この記事をまとめます。
コメント