火山噴火の基礎知識(2) 噴火のメカニズムと種類 

火山噴火の基礎知識(2) 噴火のメカニズムと種類 自然災害に備えるブログ Ready Japan 火山噴火
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この記事は下記の方にお勧めです。

・火山噴火のメカニズムを知りたい方
・火山噴火の種類を知りたい方
・それぞれの噴火の特徴と代表的な火山の例を知りたい方

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はじめに

火山噴火はマグマや火山灰などが地表に噴出する現象です。それでは、なぜ噴火が起きるのでしょうか? 

また、噴煙を上げる日本の火山の噴火と溶岩が流れるハワイの火山の噴火とでは噴火の様相が異なっています。それでは、噴火にはどのような種類があるのでしょうか?

この記事では火山噴火のメカニズムと種類についてまとめます。

火山噴火のメカニズム

世界の火山の分布

日本ではプレートの境界に沿って火山が分布していますが、世界の火山分布はどうなっているのでしょうか? 地球規模で見ると下図のように火山は限られた地域に偏在していることがわかります。

下図においては活火山を示しています。これらの活火山は①中央海嶺・アフリカ大地溝帯、②ホットスポット、③沈み込み帯に分類されます。

中央海嶺・アフリカ大地溝帯でのマグマの発生

①の中央海嶺はプレートが割れて離れている場所で、その例として太平洋中央海嶺、大西洋中央海嶺、アフリカ大地溝帯があります。ここでは割れ目を埋めるように温かいマントル(固体)が上昇し、約100kmよりも浅い地球表層ではマントルの一部が融けてマグマになります。

アフリカ大地溝帯はアフリカ大陸東部の北はエチオピア高原から南はモザンビーク海峡南部までの約6,000kmの巨大な大地の割れ目で、割れ始めたばかりのプレートの境界です。やがては海峡になりアフリカ大陸が分裂すると言われています。

ホットスポットでのマグマの発生

②のホットスポットは表層のプレートの運動とは関係なく温かいマントル(固体)が上昇している場所で、その例としてハワイやイエローストーン(アメリカのモンタナ州・ワイオミング州・アイダホ州)や、上図の右下の「ホットスポットの分布」に記されている場所を挙げられます。

ホットスポットでも圧力が低い表層で上昇したマントルの一部が融けてマグマになります。

沈み込み帯でのマグマの発生

③の沈み込み帯は海のプレートが陸のプレートに沈み込んでいる場所で、沈み込み口の海溝と平行に沈み込まれるプレート側へ数100km離れた付近に火山が連なっています。その例として日本列島、インドネシア、アンデス山脈があります。

沈み込み帯でマグマが発生するのは、沈み込んでいる海のプレートに含まれる水が影響して上部マントルの一部が融けるためと考えられています。

噴火のメカニズム

これらのメカニズムで発生したマグマは火山の下部のマグマ溜まりに蓄えられています。また、マグマには水蒸気やさまざまなガスが含まれており、マグマが上昇することにより周辺の圧力が下がり、マグマに含まれるガスが膨張します。そして、ガスの膨張に周りの岩石が耐えきれなくなると火口が開き噴火します。

火山噴火の種類

火山噴火は水蒸気噴火マグマ水蒸気噴火マグマ噴火に大別できます。

水蒸気噴火

水蒸気噴火(水蒸気爆発)は地下水がマグマに間接的に熱せられることにより高温高圧になり、爆発的に噴出する現象です。マグマの直接の関与がないため、噴出物にはマグマ由来の物質を含みません。

58人が死亡、5人が行方不明となった2014年の御嶽山の噴火は水蒸気噴火によるものです。

マグマ水蒸気噴火

マグマ水蒸気噴火(マグマ水蒸気爆発)は地下水とマグマが直接接触することにより起きる大爆発を伴う噴火です。水とマグマが直接接触するため、噴出物の中にマグマ由来の物質が含まれています。

マグマ水蒸気噴火の例として2015年5月29日の口永良部島の噴火があり、この噴火で噴火警戒レベルが3(入山規制)から5(避難)に引き上げられ、口永良部島全域に避難指示が発令されました。

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マグマ噴火

マグマ噴火はマグマが直接地表に噴出する現象です。流動性の低いマグマが流れだすものから、大爆発をおこす噴火まで、マグマの性質や噴火の規模、形態によってハワイ式ストロンボリ式ブルカノ式プリニー式に分類されます。

日本の火山ではマグマ噴火の多くがブルカノ式ですが、2011年の霧島山(新燃岳)の噴火では準プリニー式(ストロンボリ式とプリニー式の中間)の噴火でした。

ハワイ式噴火

ハワイ式噴火は粘り気の少ない溶岩の火山で見られる噴火で、溶岩がおだやかに噴き出して川のように流れていきます。その名の通り、ハワイの火山で見られる噴火です。日本の火山ではあまりないタイプの噴火で、かつて三宅島の噴火で見られたことがありました。

ハワイ式噴火の代表例としてハワイのキラウエア火山があります。

ストロンボリ式噴火

ストロンボリ式噴火は比較的粘性の低い玄武岩や安山岩のマグマが数秒から数十秒おきに火口から噴き上げる間欠的爆発による噴火です。火口からマグマの破片やしぶきが火山弾・スコリアなどとして放出され、火口の周囲には円錐形の火砕丘が生じます。ハワイ式噴火とブルカノ式噴火の中間で、マグマの粘性の違いによるものです。

ストロンボリ式噴火はイタリアのストロンボリ火山の噴火形態に由来して命名されました。日本では伊豆大島、阿蘇山、諏訪之瀬島の噴火でよく見られ、1970年から翌年にかけての秋田駒ヶ岳の噴火が代表例です。

ブルカノ式噴火

ブルカノ式噴火は安山岩質の火山で見られる大きな音を伴う爆発的な噴火です。マグマの粘性が高いため、閉塞された火道の地下でガスの圧力が高まることから爆発的な噴火となります。噴火と同時に火山弾・火山礫・火山灰などの火山砕屑物を噴出するほか、溶岩流や火砕流を伴うことがあります。

ブルカノ式噴火はイタリアのブルカノ火山の噴火形態に基づいて命名されました。また、日本で多く見られるタイプの噴火で、桜島の噴火が代表例です。

プリニー式噴火

プリニー式噴火は大量の軽石や火山灰が火口から空高く噴出し、成層圏に達する巨大な噴煙を上空高く噴き上げるのが特徴の爆発的な噴火で、柱のように立ちのぼる噴煙が何時間も続きます。また、風下では軽石や火山灰が広範囲に降下し、火砕流を伴うこともあります。世界規模で見ても数年に一度しか起こらない非常に危険な噴火です。

きわめて粘性の高い流紋岩質マグマの噴火でよく見られますが、粘性が低くても条件によっては発生すると言われています。

プリニー式噴火は西暦79年にイタリアのベスビオ火山で起きた爆発的噴火を調査したプリニウスという人名にちなんで命名されました。この噴火でイタリアの古代の町であるポンペイが全滅したと言われています。日本での例として1929年の北海道駒ヶ岳の噴火が挙げられます。

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まとめ

この記事をまとめます。

  • 活火山は、中央海嶺・アフリカ大地溝帯、ホットスポット、沈み込み帯に多く存在し、それぞれマグマの発生過程が異なります
  • マグマは火山の下部のマグマ溜まりに蓄えられ、上昇するとともにマグマ中のガスが膨張し、圧力が高めることにより周りの岩石が耐えきれなくなると火口が開き噴火します
  • 噴火は水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火に大別できます
  • マグマ噴火はハワイ式、ストロンボリ式、ブルカノ式、プリニー式に分類されます
  • マグマ噴火の種類はマグマの粘性の違いによります

※この記事は下記のサイトを参考に作成しました。

 気象庁ホームページ
 大鹿村中央構造線博物館ホームページ

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