災害をもたらした気象事例(19) - 洞爺丸台風 -

災害をもたらした気象事例(19) - 洞爺丸台風 - 大雨
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はじめに

昭和20年以降に発生した気象災害(台風、風水害、雪害)のうち、死者・行方不明者数が100人以上の事例をまとめます。

一方、顕著な災害を起こした自然現象(火山、地震、気象)に対して気象庁は名称を定めています。気象災害(台風を除く)では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害、特異な気象現象による被害など)が発生した場合に、台風では顕著な被害(損壊家屋等1,000棟程度以上または浸水家屋10,000棟程度以上の家屋被害、相当の人的被害など)が発生し、かつ後世への伝承の観点から特に名称を定める必要があると認められる場合に名付けられます。

名称の付け方は気象災害(台風を除く)では「元号年顕著な被害が起きた地域名現象名(豪雨、豪雪、暴風、高潮等)」で、台風では「元号年顕著な被害が起きた地域・河川名台風」が原則です。

この記事では、昭和29年(1953年)9月に被害をもたらした「洞爺丸台風(昭和29年台風第15号)」についてまとめます。この台風は日本海を発達しながら猛スピードで進み、5隻の青函連絡船が暴風と高波により遭難し、洞爺丸の乗員乗客1,139名が死亡するなどの大惨事となりました。

この台風は気象庁が名称を定めた初めて気象現象でもあります。

台風の経路

洞爺丸台風(昭和29年台風第15号)は9月21日3時にヤップ島北方で発生したものの、急速に衰えて9時には熱帯低気圧となりました。その後、23日9時に再び台風となり、25日朝に石垣島西方を通過し、15時に沖縄本島西方を、26日0時には屋久島西方を通過し、2時頃に大隅半島北部に上陸しました。そして、4時30分頃に大分県臼杵付近から豊後水道に抜け、時速100kmで中国地方を横断し、8時頃に山陰沖から日本海に抜け、発達しながら北東に進み、21時に最盛期を迎えて北海道寿都町沖を通過し、27日0時過ぎに稚内市付近に達しました。その後衰えて、28日9時にはカムチャッカ半島東岸近くで温帯性低気圧となり、29日21時にアリューシャン南方を通過しました。

洞爺丸台風(昭和29年台風第15号)経路
昭和29年台風第12号経路図(出典:気象庁ホームページ

台風の概要

降水量は九州と中国地方では200mmを超えた所があったものの、その他の地方では多くありませんでした。しかし、台風は日本海に入っても発達を続けたため、西日本や東北、北海道の各地で30m/s以上の暴風が吹きました。

主な観測地点での最低海面気圧、最大風速、最大瞬間風速は下表の通りです(最大風速が大きい順)(赤字はそれぞれの最高値(気圧は最小値))。最低海面気圧は寿都で958.9hPaでした。また、最大風速は寿都で42.0m/s(最大瞬間風速53.2m/s)で、最大瞬間風速は室蘭で55.0m/s(最大風速37.2m/s)でした。

観測地点最低海面気圧(hPa)最大風速(m/s)最大瞬間風速(m/s)
寿都(北海道寿都町)958.942.053.2
種子島(鹿児島県西之表市)971.439.1
室蘭(北海道室蘭市)970.337.255.0
江差(北海道江差町)974.136.143.7
宿毛(高知県宿毛市)972.335.754.8
留萌(北海道留萌市)967.035.245.8
倶知安(北海道倶知安町)969.734.145.4
屋久島(鹿児島県上屋久町)968.133.251.0
萩(山口県萩市)981.032.136.5
雄武(北海道雄武町)969.432.043.8
苫小牧(北海道苫小牧市)977.731.837.8
岩見沢(北海道岩見沢市)976.331.439.6
宮崎(宮崎県宮崎市)967.731.342.6
秋田(秋田県秋田市)981.630.742.7
徳島(徳島県徳島市)982.130.239.7

また、9月24日~27日における期間降水量、最大日降水量、最大1時間降水量を、期間降水量が多かった順にまとめると下表になります(赤字はそれぞれの最高値)。期間降水量は名瀬で383.6mmに達したほか、九州各地で200mmを超えました。一方、最大日降水量は佐賀の284.0mmが最大で、最大1時間降水量も佐賀の68.6mmが最大でした。被害が大きかった北海道や東北では大雨にはなりませんでした。

観測地点期間降水量(mm)最大日降水量(mm)最大1時間降水量(mm)
名瀬(鹿児島県名瀬市)383.6182.337.4
佐賀(佐賀県佐賀市)305.4284.068.6
平戸(長崎県平戸市)298.4196.230.5
長崎(長崎県長崎市)288.7260.916.0
屋久島(鹿児島県上屋久町)253.1137.045.0
下関(山口県下関市)245.5218.646.3
厳原(長崎県厳原町)237.1150.418.5
飯塚(福岡県飯塚市)232.3193.527.7
福岡(福岡市中央区)229.4216.533.1
牛深(熊本県牛深市)212.1192.836.8
萩(山口県萩市)211.3193.139.0
尾鷲(三重県尾鷲市)206.5112.220.0
佐世保(長崎県佐世保市)206.0156.326.4

被害状況

この台風により、函館港から出港した洞爺丸を始め、5隻の青函連絡船が暴風と高波で遭難し、洞爺丸の乗員乗客1,139名が死亡しました。また、北海道岩内町では3,300戸が焼失する大火が発生し、さらに広い範囲で暴風となったため、被害は九州から北海道まで全国に及びました。

全体の被害は死者が1,361人、行方不明者が400人、負傷者が1,601人、住家の全壊が8,396棟、半壊が21,771棟、流失が391棟、一部破損が173,921棟、焼失が3,454棟、床上浸水が17,569棟、床下浸水が85,964棟などでした。

北海道北斗市には洞爺丸慰霊碑が建立されています。

洞爺丸慰霊碑
洞爺丸慰霊碑

まとめ

洞爺丸台風についてまとめます。

  • 洞爺丸台風は大隅半島北部に上陸後九州・中国地方を通り、日本海に抜けたのちに発達しながら進みました
  • 暴風と高波に5隻の青函連絡船が遭難し、洞爺丸の乗員乗客1,139名が死亡しました
  • 九州各地で期間降水量が200mmを超えたものの、被害が大きかった北海道や東北では大雨にはなりませんでした
  • 全体の被害は死者が1,361人、行方不明者が400人、負傷者が1,601人、住家の全壊が8,396棟、半壊が21,771棟、流失が391棟、一部破損が173,921棟、焼失が3,454棟、床上浸水が17,569棟、床下浸水が85,964棟などでした

この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
防災科学技術研究所ホームページ

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