この記事は下記の方にお勧めです。
・耐震マットのサイズについて知りたい方
・耐震マットの材質について知りたい方
・耐震マットの選び方について知りたい方
はじめに
ネットショップで耐震マットを探したらサイズとか材質とか色々あるけど、どれを選んだらいいのかなぁ
ホームセンターやネットショップで耐震マットを探したことがある方はおられるのではないでしょうか。色やサイズが違うだけではなく材質が違っていたり、家具用やテレビ用などがあったりして、どれを選んだら良いのか迷った経験がある方もおられることでしょう。
この記事では耐震マットの種類や選び方についてまとめます。
耐震マットのサイズ
耐震マットは3cm×3cm、4cm×4cm、5cm×5cmといった正方形や、3cm×4cmといった長方形や、直径30mmや直径40mmといった円形の商品が売られています。
また、耐震マットは多くの場合4枚1組でパッケージされており、その全てを一つの対象物に使うことを想定しています。そして、4枚全てを使用したときの耐荷重がパッケージに記載されています。
同じメーカーで同じ材質の耐震マットの場合、耐荷重は面積に比例します。例えば、5cm×5cmの耐震マット4枚で耐荷重が100kgであれば、4cm×4cmの耐震マット4枚の耐荷重は
100kg×(4cm×4cm)÷(5cm×5cm)=64kg
になります。つまり、同じメーカーの商品を選択する場合、対象物の重量に見合った耐荷重の商品を選べば良いことになります。また、対象物の底面の形状に合わせて耐震マットをカットして使用することも可能です。ただし、あまり小さくカットすると期待する性能が出ないこともあるので注意が必要です。
一方、3mm厚、5mm厚、7mm厚など、厚さが異なる耐震マットも売られています。耐震マットは薄いと対象物に貼った時に目立ちませんが、5mm厚や7mm厚よりも厚さ方向に伸びにくくなるため、同じメーカーで同じ材質の耐震マットで比較した時には衝撃吸収能力が劣ることもあります。一方、7mm厚のように厚い耐震マットは伸びやすいため衝撃吸収能力に優れますが、貼った時に目立つという短所と、揺れが大きくなることに注意が必要です。
また、正方形、長方形、円形などの形状は、同じメーカーの商品で面積が同じであれば同一の耐震性能と考えられます。対象物に貼りやすい形状のものを選べば良いでしょう。
耐震マットの色
耐震マットの色はベースの材料に着色剤を添加して付けているので、ほとんど耐震性能には影響しません。好みの商品を選択すれば良いでしょう。ただし、耐震マットは使用中にはほとんど見えないので、あまり色は関係しないのではないでしょうか。
耐震マットの材質
耐震マットのパッケージを見ると、多くの場合材質(素材名)が記載されています。そして、それぞれ次のような特徴があります。
ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂とは
ポリウレタン樹脂ってどんなものだろう?
それでは、ポリウレタン樹脂はどんなものなのでしょう? ストレッチ素材の服やフェイクレザーのジャケットやコートに使用されているので、聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。
ポリウレタン樹脂は -NH-CO-O- の構造で示されるウレタン結合を含む樹脂の総称で、耐震マットのように柔軟なもの以外にも、ゴム、断熱材、クッション、スポンジ、塗料、繊維など様々な用途で使用されています。
耐震マットに使われているポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂は耐震マットの材質の一つですが、多くの種類があり、次のように分類できます。
・熱硬化性ポリウレタン樹脂
・熱可塑性ポリウレタン樹脂
・エステル系ポリウレタン樹脂
・エーテル系ポリウレタン樹脂
これらが組み合わさって、熱硬化性のエステル系ポリウレタン樹脂や、熱可塑性のエーテル系ポリウレタン樹脂といったものがあり、耐震マットのメーカーは独自の配合のポリウレタン樹脂の耐震マットを製造しています。また、メーカーによっては「ウレタンゲル」といった独自の名称を付けていることもあります。
熱硬化性ポリウレタン系耐震マットの製造方法
ポリウレタンはジオールとジイソシアネートの重付加反応で合成します。
熱硬化性ポリウレタン樹脂は液体原料であるジオールとジイソシアネートを混合することによって反応させ、その反応液を型に注入し硬化させることによって製造します。耐震マットの場合、メーカーによって耐震マットの形状の型で注型する場合と、大判の型で注型してから切断して耐震マットの形状にする場合があります。また、同じ型を使用した場合でも注型量を調整することによって厚さの異なる耐震マットを製造できるという特長があります。
熱可塑性ポリウレタン系耐震マットの製造方法
熱可塑性樹脂はある温度で溶融して液状になり、温度が下がると固体に戻る性質があります。この性質を利用し、ペレット状の熱可塑性ポリウレタンペレットを原料として射出成形で耐震マットが製造されています。射出成形で製造された耐震マットは側面にランナーの痕跡が見られます。
ランナーとは射出成形で成形機のノズルから射出された溶融した原料を金型内に送り込むための通路のうち、スプルー(成形機のノズルからランナーまでを一直線につなぐ円錐形の流路)から成形品までをつなぐ流路のことです。プラモデルの部品の周りについている棒状の部分(使用時に切断)を思い浮かべてください。プラモデルの部品をランナーから切断すると、ランナーの跡があったのではないでしょうか。
エステル系ポリウレタン樹脂とエーテル系ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂にはエステル系ポリウレタン樹脂とエーテル系ポリウレタン樹脂があります。エステル系ポリウレタン樹脂は耐熱性が良いという特長がありますが、加水分解による劣化が発生します。一方、エーテル系ポリウレタン樹脂は加水分解による劣化は発生しにくいですが、耐熱性がエステル系ポリウレタン樹脂よりも劣ります。
ポリウレタン樹脂の加水分解はスニーカーのソールでよく発生するので、歩行中に靴底が剥がれて困った経験がある方も多いのではないでしょうか。また、ポリウレタン繊維を使用した衣服の寿命が3年くらいと短かったり、クリーニング店に持ち込めなかったりといったことも加水分解が影響しています。
ポリウレタン樹脂の長所と短所
ポリウレタン樹脂はジオールの種類やジイソシアネートの種類を変えることにより、また、これらの配合比を変えることにより物性の制御ができるため、無限の種類の材質を作ることができるという長所があります。
一方、一般的に加水分解により劣化するため、特に高温・高湿度の場所で使用すると軟化し、最終的には溶けてドロドロの液状になることもあります。そのため、耐震マットの場合、商品に記載されている耐用年数をよく確認し、また、使用中も定期的に状態を確認し、初期よりも潰れて薄くなっている場合には交換する必要があります。
また、ポリウレタン樹脂は紫外線によっても分解し劣化するため、屋外は言うまでもなく、直射日光が当たる場所(家具の下に設置していても窓際だと耐震マットの側面に直射日光が当たることがあります)での使用は避けるか、耐震マットの側面にアルミ箔などの光を通さないものを貼って対策するのが良いでしょう。
さらに、可塑剤(オイルの一種)を添加して柔軟な材質にしているポリウレタン樹脂系の耐震マットの場合、相手材(貼ったものの材質)の種類や劣化により可塑剤が流出することがあります。これをブリードと言います。ブリードしないことを謳っている商品もあるので、選択肢の一つになるのではないでしょうか。
ブリードにより床や家具が変色することがあります。
なお、劣化は製造直後から進むため、店舗に陳列されている商品は在庫期間にもよりますが、ある程度の劣化が進んでいると考えるのが一般的です。特に、明らかに変色している商品の購入は長期間使用するのであれば避ける方が良いでしょう。
ポリスチレン樹脂
ポリスチレン樹脂とは
ポリスチレン樹脂はあまり聞かないなぁ
ポリスチレン樹脂はスチレンを原料にして重合した樹脂で、スチロール樹脂とも言います。身近なところでは発泡スチロールが有名です。そのほかにも、OA機器、テレビのハウジング、食品容器、プラモデルなどで使用されています。リサイクルの表示で「PS」と書かれているのがポリスチレンです。
ポリスチレン系耐震マットの製造方法
ポリスチレンは熱可塑性の樹脂で、耐震マットは射出成形で製造されています。そのため、耐震マットの側面にランナーの痕跡が見られます。
ポリスチレン樹脂の長所と短所
ポリスチレン樹脂は安価なため製品の価格を抑えることができます。また、溶融時における熱の安定性が高く、射出成形に向いた素材です。さらに、耐候性に優れています。
一方、耐熱性が低く、耐熱温度は60〜80℃です。また、耐油性や耐薬性が低いという短所もあります。そのため、温度が高くなる場所での使用は避ける方が良いでしょう。
イソブチレン系樹脂
イソブチレンは聞いたことがないかも
イソブチレン系樹脂は、制振性能に優れ、 強い自己粘着性があり、ブリードが少ない無色透明の素材です。その素性は特許になっており、イソブチレン系樹脂を使用した耐震マットの製造メーカーは1社のみです。
その他の特徴についてはメーカーのホームページに詳しく記載されています。
シリコーン樹脂
シリコーンはよく聞くけど、耐震マットは見たことがないなぁ
シリコーン樹脂は使用温度範囲が-100℃~260℃と広く、耐熱性や耐候性に優れた耐用年数の長い素材です。一方、汎用の樹脂と比較して高価です。
シリコーン樹脂を使用した耐震マットは墓石の転倒防止用に販売されていますが、今のところ一般の小売店やネットショップでは販売されていません。
まとめ
この記事をまとめます。
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