備蓄の基礎知識(1) 食糧の備蓄

備蓄の基礎知識(1) 食糧の備蓄 自然災害に備えるブログ Ready Japan 備蓄
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この記事は下記の方にお勧めです。

・何をどれだけ備蓄したら良いのかを知りたい方
・備蓄品の収納スペースに困っている方
・乳幼児や要介護者などがいる家庭で必要な備蓄品を知りたい方

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はじめに

大きな自然災害が発生すると、たとえ住居が無事でも電気やガスや水道が使用できなくなったり、食糧や飲用水などの生活必需品の入手が困難になったりすることがあります。場合によってはそのような状況が長期間続くこともあります。さらに、自然災害だけではなく、新型コロナウイルスの例もあるように、感染症で外出できなくなることもあります。

自然災害の場合、自治体等からの支援物資の期待ができる災害発生後数日後までの食糧は備える必要があると言われています。それでは、何をどれだけ備蓄すれば良いのでしょうか? また、限られた住居スペースに必要なだけの食糧をストックできるのでしょうか?

この記事では食糧を中心とした備蓄についてまとめます。

ライフラインの復旧

備蓄品が必要になるのはライフラインが機能しなくなった時です。それでは、大きな災害が起きた時にどのくらいでライフラインが復旧するのでしょうか?

下表は阪神・淡路大震災と東日本大震災後のライフラインの復旧時期です。電気は数日から一週間程度で復旧したのに対し、上水道や下水道の復旧には数ヶ月間を要しています。


阪神・淡路大震災(1995年1月17日) (兵庫県内のみ)東日本大震災(2011年3月11日)
震災直後復旧震災直後復旧
上水道約127万戸4月17日復旧完了約160万戸約3週間で約80%解消
約1カ月で約94%解消
下水道  被災管梁総延長
約180km
2月28日仮復旧完了
4月20日全戸通水完了
被害延長
約550km

電気約100万戸停電1月23日倒壊家屋を除き復旧完了約466万戸3日で約80%解消
8日で約94%解消
都市ガス約84万5000戸供給停止4月11日倒壊家屋を除き復旧完了約46万戸約1カ月で約80%解消
約2カ月で約90%解消
下記資料を参考に作成
阪神・淡路大震災下水道施設災害の記録(平成8年3月):兵庫県土木部下水道課
東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告書参考図表集(平成23年9月):中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」
年報 NTTファシリティーズ総研レポート No. 24 2013年6月

また、内閣府の資料(被害想定結果について 内閣府(防災担当) 作成資料)によると、想定している「M7.3の東京湾北部地震」での目標復旧日数は次の通りです。

  • 上水道:30日(95%の復旧)
  • 電力:6日(95%の復旧)
  • 都市ガス:55日(80%の復旧)

災害の規模や発生した地域にもよりますが、電力の復旧には一週間、上水道の復旧には1ヶ月を見込むのが良さそうです。

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一般家庭の備蓄

必要な備蓄品の種類や量は家族構成によって異なります。ここでは、一般的な家庭に必要な備蓄品についてまとめます。

どれだけ備蓄すればいいの?

東日本大震災では、物流網の混乱により地域によっては食料の調達までに震災発生後3日、電気の復旧に一週間以上、水道の復旧に10日以上要しました。このことから、最低でも3日間できれば7日分の備蓄を家庭内ですることが望ましいとされています。

備蓄が必須なものは?

炭水化物タンパク質燃料が必須です。

一人分に必要な水は飲用として1日あたり1リットル、調理等に使用する分を含めると1日あたり3リットル必要です。なお、湯煎、米や野菜の洗浄、皿洗いに必要な水は含まれておらず、別途必要です。

1日一人当たり3リットルの水を備蓄しようとすると、たとえば、4人家族だと3日分で36リットル(2リットル入りのペットボトルが18本)、7日分で84リットル(2リットル入りのペットボトルが42本)必要で、よく売られている2リットル入りのペットボトルが6本入りの段ボールだとそれぞれ3箱分、7箱分です。

また、給水車からの補給を受けるために給水タンクや給水袋が必要です。

炭水化物

炭水化物はいわゆる主食で、(精米、無洗米、レトルトご飯、アルファ米)、パン乾麺(うどん、そば、パスタ)、シリアルカップ麺などです。災害発生直後は米を炊いたり麺を茹でたりする余裕がないことも考えられるので、アルファ米やレトルトご飯が便利でしょう。災害後の生活に余裕が出てくれば普段食べている精米や無洗米も食べられるようになるので、備蓄食料と考えることができます。

目安は米が1食75g程度、乾麺は1食100g 程度です。たとえば、4人家族だと3日分で米が2.7kg、7日分で6.3kgが必要です。これは米だけを食べる場合で、乾麺やカップ麺等の備蓄があれば米の備蓄量は減らせます。

タンパク質

いわゆる主菜で、缶詰レトルト食品が備蓄に適しています。味付きで調理が不要なため、災害時にはとても便利です。また、常温保存できる充填豆腐やロングライフ牛乳もタンパク質源になります。

一人当たり毎食1個とすると、たとえば4人家族の場合だと3日間で36個、7日間で84個必要です。

燃料

大きな災害が発生すると、電気やガスが使用できなくなります。そのような時にはカセットコンロが役立ちます。カセットコンロのボンベは一人当たり一週間で6本くらい必要です。また、お湯を沸かすために鍋ややかんも必要です。

できれば備蓄したい食糧は?

主食や主菜だけではどうしても飽きてきます。また、栄養の偏りにより健康障害が起きるかもしれません。そこで、災害時に不足しやすい野菜や果物といった副菜も備蓄する方が良いです。野菜は日持ちのするじゃがいもや玉ねぎを普段使いしつつ備蓄するのが良いでしょう。また、梅干し、海苔、乾燥わかめ、野菜ジュースも普段使いしつつ備蓄できます。

果物もバナナなどの日持ちのする果物やフルーツ缶詰、果汁ジュースを普段使いしつつ備蓄できます。

その他、バランス栄養食やサプリメント、チョコレートや飴やビスケットなどのお菓子類も常備すると良いでしょう。

ローリングストックしよう!

広い敷地の家に住んでいればペットボトル入りの水を段ボール7箱分の置き場所は容易に確保できるかもしれませんが、都市部のマンション住まいだと備蓄食糧を別途保管する場所を作るのが難しい家庭が多いのではないでしょうか。

そのような家庭ではローリングストックがお勧めです。ローリングストックとは少し多い目に食材等を購入し、使ったら使った分だけ買い足すことで常に一定量の食糧を備蓄することです。

ローリングストックをすることにより、便利ですが高価な災害対策用の長期間保存ができる水や食品をたくさん購入することなく、スーパー等で安く購入できる缶詰やレトルト食品を備蓄食糧とすることができます。さらに、賞味期限切れ間近になって慌てて備蓄食糧を消費することもなくなるでしょう。

ローリングストックをすれば、備蓄食料の保管場所の問題もある程度は解決できるのではないでしょうか。

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家族構成によって必要なものを備えよう

上記の必需品に加えて、家族構成によっては必要になるものがあります。その日に備えて準備しましょう。

乳幼児がいる家庭の備蓄

ミルク、ほ乳瓶(消毒セット)離乳食、紙おむつ、おしりふき、おもちゃ、母子手帳 など

要介護者のいる家庭の備蓄

介護用品、入れ歯、補聴器、大人用紙おむつ、補助具の予備、常備薬、障害者手帳など

妊婦がいる家庭の備蓄

生理用品、ガーゼ、さらし、新生児用品、母子手帳など

ペットがいる家庭の備蓄

ペットフード、ペット用品(食器、トイレ、リード、ケージなど)、飼い主の連絡先など

地域にあった備蓄品を揃えよう

家族構成に加えて住んでいる地域にあった備蓄も必要です。例えば、沖縄に住んでいる方と北海道や東北地方などの寒冷地に住んでいる方とでは、冬に被災した時の備えが異なることは自明ではないでしょうか。

推奨する備蓄品リストは各自治体がホームページなどで公開しています。一度、お住まいの自治体のホームページで確認してみたらいかがでしょう。

参考のために、各都道府県が公開している備蓄品リストをリンクします。なお、都道府県のホームページで備蓄品リストが見つからなかった場合には県庁所在地の市のホームページにリンクしています。

北海道青森県岩手県秋田県宮城県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県、福井県(福井市)、山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県、三重県(津市)、滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県、鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県、佐賀県(佐賀市)、長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

まとめ

この記事をまとめます。

  • 大きな災害後のライフラインの復旧には数日〜数ヶ月かかることがあります
  • 大きな災害後、自治体等から水や食糧の供給があるまで3日程度かかることがあります
  • 少なくとも3日分、できれば7日分の食料や燃料の備蓄が必要です
  • 炭水化物(主食)、タンパク質(主菜)、水、燃料(カセットコンロのボンベ)の備蓄が少なくとも必要です
  • 備蓄品の保管場所を確保するためにローリングストックが役立ちます
  • 乳幼児、要介護者、妊婦、ペットがいる家庭はそれぞれ必要な備蓄品があります

※この記事は下記のサイトを参考に作成しました。
 ・農林水産省のホームページ
 ・福岡県防災ホームページ

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