はじめに
世界には活火山が1500あると言われており、国別だと多い順にアメリカ（178）、ロシア（150）、インドネシア（140）、日本（111）、チリ（104）です。日本は4番目に多く、世界の約7%の火山があります。
かつては火山を「活火山」、「休火山」、「死火山」と分類していましたが、2003年に再定義され、活火山は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定義されました。
この記事では日本の活火山をまとめます。
鹿児島県の活火山
薩摩硫黄島
薩摩硫黄島は薩摩半島の南約50kmに位置する火山島で、鬼界カルデラの中央火口丘に当たります。鹿児島県三島村の一部で、島内の人口は121人 （2019年8月1日現在）です。主峰の硫黄岳（標高：703.7m）は流紋岩質の急峻な成層火山で、山頂火口では噴気活動が活発です。 稲村岳（標高：236m）は玄武岩～安山岩質の小型成層火山です。さまざまな温泉が湧出しており、海水が変色しているところもあります。また、島内には東温泉ほかの温泉があります。
鬼界カルデラでは7300年前に国内最大規模の噴火であるアカホヤ噴火が発生しました。薩摩硫黄島は鬼界カルデラの縁に誕生した火山島で、約6000年前以降に海面上に姿を現しました。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・15～16世紀 水蒸気噴火（硫黄岳山頂火口から噴火。降下火砕物、火砕流）
・1934年～1935年 マグマ噴火（大規模）（硫黄島東方2kmの海底から噴火。硫黄島新島（昭和硫黄島）が生成）
・1936年 地震、噴煙
・1988年 噴煙
・1996年 地形変化（山頂火口南東部の道路上に開口性割れ目）
・1997年 噴気孔生成（火口底部に直径約20mの急傾斜の火孔）
・1999年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2000年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2001年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2002年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2003年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2004年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2013年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2019年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2020年 噴火（硫黄岳山頂から噴火）
・2021年 火映
・2022年 火映・噴出現象
・2023年 火映・噴出現象
・2024年 噴火・火映（硫黄岳山頂から噴火。噴煙は最高で火口縁上1000ｍ）
常時観測火山のひとつです。
口永良部島
口永良部島は屋久島の北西約12kmに位置する火山島です。鹿児島県屋久島町の一部で、長径約12㎞、最大幅約5㎞のひょうたん型の形状をしており、人口は約100人です。火山島ですが照葉樹林や竹の緑に覆われています。島は古い火山体である西部の番屋ヶ峰と現在まで活動を続けている島の中央部から東部を構成する新岳・古岳・野池山などの火山体で構成されており、最近の1万年間の噴火は古岳・新岳・鉢窪火山で発生しました。古岳火口では数百年前まで火砕流を伴う噴火が発生していたと考えられています。最高峰は新岳で標高は657mです。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1841年5月 噴火（新岳から噴火）
・1841年8月 噴火（村落が焼亡し、死者多数）
・1914年 鳴動、地形変化、溶融硫黄噴出（火口底陥没）
・1931年 噴火（新岳火口西縁から噴火。土砂崩壊、負傷者2人、馬、山林田畑被害）
・1932年 噴煙、鳴動
・1933年～1934年 噴火（新岳から噴火。火山礫が多数降下して七釜集落が全焼し、死者が8人、負傷者が26人、家屋全焼が15棟、牛馬や山林耕地に大被害）
・1945年 噴火（新岳火口東外壁から噴火）
・1966年 噴火（新岳から噴火。負傷者が3人、牛被害1頭）
・1968～1969年 噴火（新岳から噴火）
・1972年 噴火（新岳から噴火）
・1973年 噴火（新岳から噴火）
・1974年 噴火（新岳から噴火）
・1976年 噴火（新岳から噴火）
・1980年 水蒸気噴火（小規模）（新岳東側斜面から噴火）
・1982年 噴気
・1996年 地震
・1999年～2000年 地震
・2003年 地震、火山性微動
・2004年 地震、火山性微動
・2005年 地震、火山性微動、地殻変動、噴気
・2006年 地震、火山性微動、地殻変動
・2007年 地震、火山性微動
・2008年 地震、火山性微動、地殻変動
・2009年 地震、火山性微動
・2010年 地震、火山性微動、地殻変動
・2011年 地震
・2014年 噴火、火山ガス
・2015年 噴火、地震、火映現象、火山ガス（黒灰色の噴煙が火口縁上9000ｍ以上。火砕流が発生。全島民が屋久島で避難生活）
・2018年 噴火（新岳火口から噴火。火柱が火口縁上200ｍ）
・2019年 噴火（新岳から噴火。噴煙が火口縁上4000ｍ。火砕流）
・2020年 噴火（新岳から噴火。火口縁上約 7000ｍの噴煙。火砕流）
・2023年 火山性地震
・2024年 火山性地震
火山災害は次のとおりです。
・1841年8月 噴火により村落が焼亡し死者多数
・1931年4月 噴火により土砂が崩壊し、負傷者が2人、山林田畑に被害
・1933年～1934年 噴火により火山礫が多数降下して七釜集落が全焼し、死者が8人、負傷者が26人、家屋全焼が15棟、牛馬や山林耕地に大被害
・1966年11月 噴火により負傷者が3人、牛の被害が1頭
常時観測火山のひとつです。
口之島
口之島はトカラ列島の最北端に位置する長径約7km、短径約3kmの溶岩ドームの集合した火山島です。鹿児島県十島村の一部で、人口は100人強です。最高峰は前岳（標高：628m）で、横岳（標高：501m）や、今も水蒸気を吐き出す燃岳（標高：425m）があります。過去1万年間には数回のマグマ噴火がありました。
有史以降の火山活動はありません。
中之島
中之島は面積、人口ともに鹿児島県十島村で最大の島で、人口は約130人です。二つの火山が接合した島で、島の中北部にはトカラ列島最高峰の御岳（標高：979m）があります。有史以降の噴火は安山岩の成層火山である北西側の御岳のみです。山頂火口内や南東側山腹には噴気孔があります。約7300年前に御岳付近でマグマ噴火がありました。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1914年 水蒸気噴火（御岳山頂火口から噴火。山頂噴気孔底から泥土噴出）
・1949年 噴煙
・1973年 噴煙
諏訪之瀬島
諏訪之瀬島は鹿児島県十島村で二番目に大きい島で、人口は約80人です。島の中央部には安山岩の成層火山の御岳（標高：799m）があります。ストロンボリ式～ブルカノ式噴火が特徴で、1956年以降毎年噴火しており、今も活発に噴煙をあげています。御岳は過去に幾度となく大噴火を繰り返しており、1813年の大噴火で全島民が避難し、その後、約70年間は無人島でした。過去1万年間では、8600年前と3800年前にマグマ噴火がありました。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1813年 噴火（大規模）（御岳火口と旧火口から噴火。火砕物の降下、火砕流の発生後、溶岩が流出して海に達し、山体崩壊も発生しました。 住民全員が避難し、1883年まで無人島となりました。文化噴火）
・1877年 噴火（御岳火口から噴火）
・1884年 噴火（御岳火口から噴火。溶岩が流出し、海に達しました。明治噴火）
・1885年 噴火（御岳火口から噴火）
・1889年 噴火（御岳火口から噴火）
・1914年 噴煙、鳴動
・1915年 噴煙
・1921年 噴火（御岳火口から噴火）
・1922年 噴火（御岳火口から噴火）
・1925年 噴火（溶岩が流出）
・1938年 噴火
・1940年 噴火（御岳火口から噴火）
・1949年 噴火（御岳火口から噴火）
・1950～1954年 噴火（御岳火口からときどき噴火）
・1956年 噴火（御岳火口から噴火）
・1957～1995年 噴火（御岳火口から頻繁に噴火）
・1989年 地震
・1992年 噴火（御岳火口から噴火）
・1997年 噴火（御岳火口から噴火）
・1998年 地震
・1999年 噴火（御岳火口から噴火）
・2000年 噴火（新噴出口生成）
・2001年 噴火（御岳火口から噴火）
・2002年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は306回）
・2003年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は64回）
・2004年 噴火（御岳火口内の北東側に新しい火口形成）
・2005年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は46回）
・2006年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は519回）
・2007年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は70回）
・2008年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は194回）
・2009年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は216回）
・2010年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は283回）
・2011年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は51回）
・2012年 噴火（御岳火口から噴火）
・2013年 噴火（御岳火口から噴火。12月下旬に爆発が247回）
・2014年 噴火（御岳火口から噴火。１月に爆発が23回）
・2015年 噴火（御岳火口から噴火。9月に爆発が89回）
・2016年 噴火（御岳火口から噴火。8月に爆発が26回）
・2017年 噴火（御岳火口から噴火。8月には爆発が12回）
・2018年 噴火（御岳火口から噴火。11月に爆発が21回）
・2019年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は15回）
・2020年 噴火（御岳火口から噴火。年間の爆発回数は764回）
・2021年 噴火（御岳火口から噴火）
・2022年 噴火（御岳火口から噴火）
・2023年 噴火（御岳火口から噴火）
・2024年 噴火（御岳火口から噴火）
常時観測火山のひとつです。
沖縄県の活火山
硫黄鳥島
硫黄鳥島は、沖縄県久米島町に属する沖縄県の最北端の無人島です。また、沖縄県内の唯一の火山島です。火山活動に伴って硫黄を産出するため、琉球王朝時代から重要な島でした。しかし、1903年以来2回の噴火が発生したことにより住民が久米島へ移住したため、現在は無人島となっています。安山岩質の二つの火山が接合した長径2.7km、幅1kmの島で、北西側の硫黄岳（標高：212m）は溶岩ドームの形態で、山頂には直径約500 mの火口があり、火口壁の数ヶ所には活発な噴気孔があります。南東側の火山はグスクとよばれ、直径500 mの火口を持ちます。火口内には扁平な溶岩ドームがあり、北側火口壁には弱い噴気孔があります。歴史時代の爆発はすべて硫黄岳の火口で発生しました。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1664年 噴火、地震（死者あり）
・1796年 噴火（火砕物降下）
・1829年 噴火
・1855年 噴火
・1868年 噴火（火砕物降下）
・1903年 水蒸気噴火（硫黄岳から噴火。全島民が一時久米島に移住）
・1934年 噴気（南東火山の火口北壁に3つの新噴気孔生成）
・1959年 噴火（中規模）（硫黄岳から噴火。全島民86人が島外に移住）
・1967年 噴火（硫黄採掘者撤退）
・1968年 水蒸気噴火（硫黄岳火口から噴火。火砕物降下）
火山災害は次のとおりです。
・1664年 噴火による死者あり
西表島北北東海底火山
西表島の北北東約20kmの沖合にある海底火山ですが、火山を想定させる地形がなく詳細な位置はわかっていません。1924年10月31日に噴火し、多量の軽石が黒潮にのって漂流し日本各地の海岸に漂着しました。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1924年 マグマ水蒸気噴火 または マグマ噴火 （多量の軽石が日本各地に漂流）
・1991年 地震
・2000～2001年 地震
まとめ
この記事をまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁 活火山総覧 第４版
気象庁ホームページ
三島村ホームページ
海上保安庁ホームページ
コメント