この記事は下記の方にお勧めです。
・火山と噴火の基礎を知りたい方
・火山の種類と分類を知りたい方
はじめに
日本は火山列島と言われるほど火山が多く、111の活火山があります。これは世界の活火山(約1500)の約7%を占めており、国土の面積からするといかに火山が多いかがわかるのではないでしょうか?
火山は一度大噴火すると大きな被害が発生しますが、平時には観光地になっているところも多く、周辺にはマグマの恵みによる温泉も多くあり、地熱発電に活用している地域もあります。
この記事では火山と噴火の基礎についてまとめます。
火山とは
火山は地球の深部にあるマグマが地表や水中に噴出してできる地形です。火山の地下にはマグマ溜まりがあります。
噴火とは
噴火はマグマや火山灰などが地表に噴出する現象です。マグマ溜まりのマグマの量が増えるとマグマは火道を上昇していき、周りの岩盤が圧力に耐えられなくなり火口が開くとマグマの圧力が解放されて噴出します。
マグマとは
マグマはマントルが融けたもので、流動体の造岩物質です。大部分はケイ酸塩溶融体で冷却・固結すると火成岩になります。マントルが高温・高圧・固体であるのに対し、マグマは高温・低圧・液体です。
火山の分類
活火山、休火山、死火山って学校で習ったけど
かつて火山は「活火山」、「休火山」、「死火山」と分類されていました。
- 活火山・・・現在盛んに噴火を繰り返している火山(例:桜島)
- 休火山・・・噴火記録はあるがしばらく噴火していない火山(例:富士山)
- 死火山・・・噴火記録がない火山(雌阿寒岳)
上記の噴火記録は文献での検証な可能な時代でのことで火山の寿命と比較すると短く、例えば死火山とされていた雌阿寒岳が噴火したなどということがありました。
そのため、2003年に活火山を『概ね1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山』と新しく定義され、現在では活火山とそれ以外の火山という分類になっています。
なお、1975年には日本の活火山は75でしたが、現在では111になっています。
火山の種類
富士山とハワイの火山とでは形状が違うのはどうして?
成層火山
日本の火山の代表と言えば富士山を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか? 富士山の美しい円錐形のシルエットは日本人だけではなく外国人にも人気です。富士山のような形状の火山は成層火山と呼ばれており、同じような場所の山頂火口から複数回の噴火で形成(爆発的な噴火でできた火山灰や火山礫と、穏やかな噴火でできた溶岩流が積み重ね)されています。浅間山、蔵王山、桜島など日本の多くの火山が積層火山です。
成層火山の溶岩の特徴は、温度が1000℃程度で、粘り気が中間程度(ゆっくりと流れる)です。主に安山岩で構成されます。
安山岩は火山岩の一種で、マグマが地上または地上近くで急激に冷え固まった岩石で、ケイ素含有率が53~63%のものを言います。
溶岩円頂丘(溶岩ドーム)
また、お椀のような溶岩ドームでできた火山があり、溶岩円頂丘と呼ばれています。溶岩円頂丘の代表例は有珠山の昭和新山や雲仙の平成新山です。溶岩円頂丘の溶岩の特徴は、温度が800℃程度と低く、粘り気が大きく流れにくいことです。主にデイサイトと流紋岩で構成されます。
デイサイトは火山岩の一種でケイ素含有率が62〜70%、流紋岩よりも安山岩よりの性質を持ちます。斑状組織を持つことが多く、斑晶として石英、斜長石、カリ長石、輝石、角閃石、黒雲母などの鉱物を含みます。
流紋岩は火山岩の一種でケイ素含有率が70%以上のものです。マグマが地上または地上近くで急激に冷え固まった岩石で斑状組織があり、斑晶には石英や長石、有色鉱物としては黒雲母や角閃石を含むことがあります。また、流理構造が見られることも多くあります。
楯状火山
楯状火山は流動性が高い溶岩でできた火山で、その多くは火口が見られません。緩やかな傾斜を持つ底面積が大きな火山です。キラウエア山やマウナロア山といったハワイの火山がその代表例で、日本の火山には典型的な例がないと言われています。楯状火山の溶岩の特徴は、温度が1200℃程度と高く、粘り気が小さく流れやすいことです。主に玄武岩で構成されます。
玄武岩は火山岩の一種で地球の表面で最も多く見られる岩石のひとつです。ケイ素含有率が45〜52%で、斑状組織を有しますが、斑晶は肉眼で見えないほど小さい場合もあります。玄武岩という日本語の名称は城崎温泉近くにある玄武洞にちなんで命名されました。
下表は楯状火山、成層火山、溶岩円頂丘の比較したものです。火山の形状は噴き出した溶岩の性質によると言えるのではないでしょうか。
マール
マールは激しい水蒸気爆発またはマグマ水蒸気爆発で形成される火山地形で、爆発力が強いために大きな火口が作られます。男鹿半島の一の目潟や二の目潟、伊豆大島の波浮港、指宿の山川港や鰻池が代表例です。
スコリア丘
スコリア丘は火山の噴火でできる茶碗を伏せたような形の小さな丘です。伊豆半島の大室山、阿蘇山の米塚がその代表例です。噴火で噴き出したスコリア(粘り気の弱いマグマのしぶき)や火山弾が火口のまわりに降りつもることにより形成されます。
下の写真は米塚ですが、山の高さは約80mで、火口跡の直径は約100mで深さは約20mです。約3300年前に1回だけ噴火した火山です。
カルデラ
カルデラは火山噴火でできた大きな丸いくぼみです。代表例は阿蘇山で、阿蘇カルデラは東西18km、南北が25km、周囲約128kmと世界最大級です。
また、くぼんだところに雨水がたまってカルデラ湖ができることがあります。その例として、屈斜路湖、洞爺湖、十和田湖、田沢湖などがあります。
火山はその寿命から単成火山と複成火山に分類されます。単成火山は1回しか噴火しなかった火山で、複成火山は複数回噴火した火山です。単成火山の例として大室山や米塚を、複成火山の例として富士山や浅間山を挙げられます。
まとめ
この記事をまとめます。
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