地震の基礎知識(1) 地震の種類と特徴

地震の基礎知識(1) 地震の種類と特徴 自然災害に備えるブログ Ready Japan 地震
この記事は約8分で読めます。
記事内に広告が含まれています。

この記事は下記の方にお勧めです。

・地震の基礎を理解して地震対策に役立てたい方
・地震の種類を知りたい方
・地震の種類ごとの特徴を知りたい方

スポンサーリンク

地震の基礎知識

地震とは

地震とは言うまでもなく地面が揺れる(震動する)ことです。それでは、なぜ地面が揺れるのでしょうか? 

地震は地下の岩盤が周囲から引っ張られたり押されたりして急激にずれることが原因です。このときの揺れが地震波として地表まで伝わり地震となります。地表での揺れの大きさは地下での岩盤のずれの大きさや深さで決まります。また、火山活動でも地震が発生し、噴火の予知に利用されることもあります。

一方、高層ビルでは地震によって引き起こされる長周期地震動が発生することがあります。東日本大震災により震源から遠く離れた大阪南港のビルが損壊したことを聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか。また、ビルの損壊にまで至らなくてもエレベーターが停止することにより、閉じ込められたり、階段での上り下りを強いられることもあります。

一方、人工的な地震もあり、地下核実験や地下での火薬の爆発が代表例です。また、航空機の墜落や、小規模なものだと土木工事による地震もあります。さらには、ライブハウスでの縦ノリで共振が発生し、周辺の建物が揺れたことがニュースになったこともありました。

この記事では、海溝型地震、プレート内地震、内陸型地震、火山性地震と、長周期地震動についてまとめます。

地球の構造

はじめに、地球の構造について考えてみましょう。

地球の表面は陸地と海で覆われていますが、これは地球のごく表面だけです。下図は地球の断面図ですが、地球の中心部から核(内核と外核)、マントル、地殻となっていることがわかります。この構造はゆで卵のようなもので、核は黄身、マントルは軟らかい白身、地殻は卵の殻を想像してみてください。

最も中心部の内核は鉄を主成分とする固体で地下5100〜6400kmに位置します。その外側の外核は鉄を主成分とする液体で地下2900〜5100kmに位置し、いずれも高温高圧の状態です。

マントルは地殻と外核の間の層で、主成分がかんらん岩という岩石で構成されており、固体ですが高温高圧のために変形すると言われています。そのため、地表面の硬い岩盤(プレート)がマントル上を動くことができます。

地殻はもともと溶融状態だった地球の表面が冷えて固まったもので、大陸地殻は30〜60km、海洋地殻は5〜7km程度と言われています。地球の大きさからするとわずかな厚みと言えるのではないでしょうか。

プレートと地震

次に、地殻がどのように構成されているのかを考えてみましょう。

地殻は十数枚の大きなプレート(岩盤)と40枚程度の小さなプレートからできています。これらのプレートはマントルの上をゆっくりと動いており、プレートとプレートが衝突しているところがあります。この衝突により地震が発生します。

下図の赤丸は地震が発生していた場所ですが、プレートの境界で多く発生していることがわかります。また、日本列島は真っ赤で、いかに地震が多く発生したのかが明らかです。

下図は日本周辺のプレートを模式的に表しています。北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートの4枚のプレートが日本周辺にあります。海のプレート(太平洋プレートとフィリピン海プレート)が数cm/年の速度で陸のプレート(北米プレートとユーラシアプレート)の方に動き、陸のプレートの下に沈み込んでいます。

このようなプレートの動きと衝突により、海溝型地震、プレート内地震、内陸型地震が発生します。例えば、東日本大震災は北米プレートと太平洋プレートの境界面で発生しました。

地震の種類と特徴

地震はプレートが動いていることによって発生することがわかりました。それでは、それぞれの地震はどのようにして発生するのでしょうか?

海溝型地震

下図は海溝型地震の発生メカニズムを表しています。図中の左のイラストは海のプレート(この図ではフィリピン海プレート)が陸のプレート(この図ではユーラシアプレート)の下に潜り込んでいます。時間の経過とともに中央のイラストのように陸のプレートに歪みが蓄積していきます(陸のプレートが大きく屈曲している)。そして、右のイラストのように歪みが限界に達すると陸のプレートが跳ね上がり地震が発生します。また、このときに津波が発生することもあります。

地震の発生により一旦は歪みが解放されますが、プレートは動き続けているため、再度歪みが蓄積されていきます。そのため、南海トラフ地震のように同じ海域で周期的に繰り返し発生することになります。

海溝型地震の例として次のようなものがあります。それぞれの地震については別記事にまとめます。

  • 東日本大震災
  • 関東大震災
  • 東南海地震
  • 南海地震
  • 平成15年十勝沖地震

プレート内地震

2011年3月の東日本大震災では津波が発生し甚大な被害をもたらしましたが、震源の近い2022年3月の福島県沖地震では大きな津波は発生しませんでした。
これは、下図のように2011年3月の地震がプレートの境界で発生した(海溝型地震)のに対し、2022年3月の地震はプレート内で発生したことによります。このような地震を海洋プレート内地震またはスラブ地震と言います。

プレート内地震は潜り込んだプレートが曲がったところで力がかかるために破断して発生すると言われており、その深さは0〜700kmの範囲に及びます。2022年3月の地震では大きな津波は発生しませんでしたが、プレート内地震である昭和三陸地震では津波が発生し、大きな被害となりました。一般には浅いところで発生すると地震の被害が大きく、深いところで発生すると被害が小さくなります。

日本で発生した地震で最も深い震源は小笠原諸島西方沖地震の余震で698kmと言われています。

また、海溝型地震が周期的に発生するのに対し、プレート内地震はいつどこで発生するのか予測するのが困難と言われています。

プレート内地震の例として次のようなものがあります。それぞれの地震については別記事にまとめます。

  • 昭和三陸地震
  • 釧路沖地震(1993年)
  • 北海道東方沖地震(1994年)
  • 芸予地震(2001年)

内陸型地震

内陸型地震は地表に近いところで発生する地震で、直下型地震とも言われます。地震の規模(マグニチュード)は大きくなくても震源が地表に近いため、特に都市部近くで発生すると大きな被害をもたらし、阪神・淡路大震災がその典型的な例と言えます。

内陸型地震もプレートの移動と関係しており、プレートの移動によってかかる力により陸のプレートの活断層にずれが起き、地震が発生します(下図の左側)。

活断層とは過去に繰り返し地震を発生させ、将来も地震を起こすと考えられる地中のずれのことで、代表的なものに上町断層帯(大阪)や中央構造線断層帯(四国)があります。主要な活断層に関しては地震調査研究推進本部のホームページで紹介されています。

しかし、近くに活断層がないからといって必ずしも内陸型地震が発生しないと言うわけではありません。それは、活断層がないのではなく、見つかっていないだけかもしれないからです。例えば、2000年に発生した鳥取県西部地震では地震の発生まで活断層が見つかっていませんでした。

日本に住んでいる以上、これまで大きな地震がなかったからといって油断するのではなく、備える必要があると言えるのではないでしょうか。

内陸型地震の例として次のようなものがあります。それぞれの地震については別記事にまとめます。

  • 阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)
  • 新潟県中越地震(2004年)
  • 熊本地震(2016年)
  • 大阪府北部地震(2018年)
スポンサーリンク

火山性地震

火山性地震はプレートの移動によるものではなく、文字通り火山活動によって発生する地震です。火山噴火によるものと、噴火に至らなくてもマグマの動きや熱水の活動により火山やその周辺で発生します。

日本の主な火山では火山性地震を観測することにより噴火の兆候を予測しており、危険予知に活用されています。

長周期地震動

長周期地震動は自然現象ではなく、海溝型地震や内陸型地震により高層ビルの特に上層階が大きく揺れることで、副次的な地震と言えます。これは、高層ビルが長周期の振動に共振しやすいためで、地面の揺れの周期と建物の固有周期が一致すると長時間にわたって大きく揺れます。

共振とは固有振動数と同じ周波数の振動を与えることにより、与えた振動の大きさよりも遥かに大きな振動が発生する現象で、数十倍の振動になることもあります。

長周期地震動の特徴として、下記を挙げられます。

  • 震源が浅く地震の規模が大きい(マグニチュードが大きい)ほど発生しやすい
  • 震源から数百キロ離れてところでも発生する(例:東日本大震災で大阪南港のビルが損壊した)
  • ゆっくりと大きく長い時間揺れる
  • ビルの高層階ほど揺れが大きく、最大揺れ幅は6メートルで10分以上揺れ続けることもある

高層ビルは震源に近いところでの短周期の揺れには強いのですが、長周期振動が発生したときには高層階で被害が出ることがあります。逆に、一戸建て住宅のような低層の建物は短周期の揺れに弱く、長周期の揺れでは被害が出にくくなります。

長周期地震動により家具の転倒や移動が発生したり、エレベーターが止まり閉じ込められたりすることがあるので、高層ビルに住んでいる方や働いている方は万が一に備える必要があるのではないでしょうか。

まとめ

この記事をまとめます。

  • 地球は内核、外核、マントル、地殻で構成されています
  • 地殻は十数枚の大きなプレートで覆われており、マントルの上をゆっくりと動いています
  • プレートの衝突により、海溝型地震、プレート内地震、内陸型地震が発生します
  • 火山活動により火山性地震が発生します
  • 高層ビルでは大きな地震のときに長周期地震動が発生することがあり、上層階はゆっくりと大きく長い時間揺れます

コメント

にほんブログ村 その他生活ブログ 地震・災害へ

にほんブログ村 その他生活ブログ 防犯・防災グッズ へ

にほんブログ村 住まいブログ 防犯・防災へ

タイトルとURLをコピーしました