はじめに
太古から地震に伴う津波が発生していたことは地質調査で明らかになっています。
しかし、いつ、どこで発生したのかをある程度の確度で知ることができるのは文字情報、つまり、古文書が現れてからのことです。日本では、西暦684年(天武13年)の白鳳地震による津波が初めて記録された津波と言われています。
この記事では、江戸時代(1800年台)に日本を襲った津波をまとめます。

江戸時代(3)
天保の大津波(出羽沖地震)
1833年12月7日(天保4年10月26日)に羽前、羽後、越後、佐渡に被害をもたらした地震による津波です。地震による被害は庄内地方で特に被害が大きく、家屋の倒壊が475軒で、死者が46人でした。また、津波が本庄から新潟に至る海岸と佐渡を襲い、能登で大破流出した家屋が約345軒で、死者が約100人でした。北海道にも地震の約30分後に津波が襲来(約120cm)し、函館湾内は約2㎞にわたり潮が引いた後、道路まで潮が上がりました。地震の規模はM7.7と推定されています。
山形県鶴岡市(旧堅苔沢村)には石碑が残されています。

天保の根室釧路沖地震
1843年4月25日(天保14年3月26日)に発生した根室釧路沖地震による津波です。地震による被害は厚岸国泰寺で石灯籠や石仏等が倒壊・飛散し、庭の所々で12~15cmの地割れを生じました。松前や津軽でも揺れを強く感じ、江戸でも揺れを記録しました。厚岸や野付では震度5強に相当する揺れがあったと推定されています。
また、津波が厚岸の村落を呑み込み、「大海のようになった」とも言われており、対岸の番屋や家屋が全部流失しました。津波の高さは4~5mと推定されています。さらに、花咲で7.1m、浜中町幌戸で5.2mの浸水高だった推定されています。津波の来襲によりアイヌ人34人が流死し、ポロトでも11人が流死しました。地震の規模はM8.0と推定されています。
安政の東海地震
1854年12月23日(安政元年11月4日)に東海・東山・南海諸道に被害をもたらした紀伊半島南東沖から駿河湾にかけてを震源とする地震による津波です。被害は関東から近畿に及び、特に沼津から伊勢湾にかけて大きな被害がありました。波高は静岡県沼津で3~4m、三保で6m、鳥羽市国崎で20m、尾鷲では6~10mでした。また、津波が房総から土佐までの沿岸を襲い、被害をさらに大きくしました。津波により下田に来航していたロシア船ディアナ号が沈没しました。
家屋の倒壊や焼失は約3万軒で、死者は2千〜3千人と推定されています。沿岸では著しい地殻変動がありました。地震の規模はM8.4と推定されています。
三重県志摩市、熊野市、鳥羽市、尾鷲市、大紀町、紀北町、愛知県豊橋市、和歌山県田辺市他に石碑が残されています。

安政の南海地震
安政の東海地震の32時間後の1854年12月24日(安政元年11月5日)に畿内、東海、東山、北陸、南海、山陰、山陽道に被害をもたらした紀伊水道から四国沖にかけてを震源とする地震による津波です。被害地域は中部から九州に及びますが、近畿付近では二つの地震の被害をはっきりとは区別できません。大きな津波が発生し、串本(和歌山)で15m、久礼(高知)で16m、種崎(高知)で11mの津波がありました。また、大阪湾に注ぐいくつかの川が逆流したり、道後温泉の湧出が数か月間止まったりしました。
地震と津波の被害の区別は困難ですが、死者は数千人と言われています。また、室戸や串本で約1m隆起し、甲浦や加太で約1m沈下しました。地震の規模はM8.4と推定されています。
大阪市、和歌山県湯浅町、田辺市、広川町、すさみ町、兵庫県明石市、徳島県小松島市、徳島市、阿南市、那賀町、美波町、松茂町、高知県高知市、南国市、土佐市、宿毛市、須崎市、土佐清水市、四万十市、中土佐町、大分県佐伯市他に石碑が残されています。

遠州灘の地震
1855年9月13日(安政2年8月3日)に遠州灘で発生した地震による津波です。前年の東海地震の最大余震で掛塚、下前野、袋井、掛川での被害が大きく、ほとんど全滅しました。津波が発生し、死者もありました。地震の規模はM7.0〜M7.5と推定されています。
安政の八戸沖地震
1855年11月11日(安政2年10月2日)に日高、胆振、渡島、津軽、南部に被害をもたらした地震による津波です。最大震度は広尾や浦河などの震度5で、襟裳岬や十勝で大規模な崖崩れが起こりました。津波が三陸や北海道南岸を襲い、南部藩で家屋の流失が93軒、倒壊が100軒、溺死が26人あり、八戸藩でも死者が5人ありました。なお、津波は岩手県で6m、函館で3mの記録があります。地震の規模はM7.5と推定されています。
まとめ
この記事をまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
国土地理院ホームページ
北海道ホームページ
中部災害アーカイブス
内閣府防災情報のページ
Report of Tsunami Engineering Vol.30(2013) 173 ~ 190.


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