はじめに
世界には活火山が1500あると言われており、国別だと多い順にアメリカ(178)、ロシア(150)、インドネシア(140)、日本(111)、チリ(104)です。日本は4番目に多く、世界の約7%の火山があります。
かつては火山を「活火山」、「休火山」、「死火山」と分類していましたが、2003年に再定義され、活火山は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定義されました。

この記事では日本の活火山をまとめます。
東京都の活火山
西之島

西之島は東京から南に約1000km、父島から西に約130kmのところに位置する安山岩の火山島です。1972年以前は面積が約0.07km2 、標高が25mの小さな島でしたが、1973年~1974年の噴火で新しい陸地
が生まれ、島全体の面積
は0.29km2 に広がりました。2013年11月頃からの噴火に伴い新島が出現し、溶岩流により面積が拡大、12月には西之島と接続しました。2022年まで噴火が続き、2018年12月時点では面積が2.89km2 、標高が160mになりました。西之島は海底火山の頂部で基底の直径は約30kmです。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1973年~1974年 マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火(中規模)(西之島新島から噴火。降下火砕物、溶岩流発生。1973年9月に新島ができ、その後第2新島、第3新島ができ、10月には陸続きになる。1974年3月に新々島ができ、6月に新島と旧島が陸続きになる)
・1975年 海水変色
・1990年 海水変色
・2013年~2015年 噴火(2013年11月に噴火し、新島ができる。12月に溶岩流により西之島と接続する。2014年以降も噴火が続き、溶岩流により新島が拡大する。2015年11月に溶岩流出が停止する)
・2016年 海水変色
・2017年 噴火
・2019年~2020年 噴火(山頂火口から噴火し、溶岩流発生)
・2021年 噴火(噴煙高度が火口縁上1900mの噴火)
・2022年 噴火(噴煙高度が火口縁上1600mの噴火。最大は3500m)
海形海山
海形海山は東京から南に約980km、硫黄島から北北西に約210kmのところに位置する海山で、その基部の水深は3500mです。南部の海徳海山とは水深2200mで尾根を接しています。海形火山頂部には東峰(頂部水深:426m)と北東〜南西に連なる3つの峰からなる西峰列(頂部水深は北から475m、162m、625m)があります。東峰の山体西部には直径5kmの馬蹄形カルデラがあり、その東側に円錐形の新期火山体が成長しています。この新期火山体の山頂には直径3km、最大水深930mの円形をしたカルデラがあり、その北西部には中央火口丘があります。東峰の中央火口丘頂部では海底熱水活動に伴う白色の変色域が確認されています。2003年1月の活火山見直しで、新たに活火山として認定されました。
有史以降の火山活動はありません。
海徳海山

海徳海山は東京から南に約1050km、硫黄島から北に約150kmのところに位置する海山です。基部の直径は40km、比高は約2500mで3つの峰があり、南にある2つの峰は、それぞれ東海徳場(水深:97m)、西海徳場(水深:100m)と呼ばれています。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1543年 海底噴火?(西海徳場?から噴火)
・1984年3月 マグマ噴火またはマグマ水蒸気噴火?(東海徳場から噴火。海水変色、海面の盛り上がり、噴煙、軽石等の噴出あり)
・1984年12月 海水変色(東海徳場)
・1986年 海水変色
・2001年 気泡湧出(東海徳場付近)
・2022年〜 海水変色(東海徳場付近)
噴火浅根

噴火浅根は北硫黄島の北ノ岬の西方約5kmにある後カルデラ火山で最浅水深は14mです。1880年に噴火しました。
北硫黄島は玄武岩の成層火山ですが、侵食が進んでおり、噴火記録はなく、噴気地熱現象も認められません。最高頂は南部の榊ヶ峰(標高802m)で、山頂付近に噴火口はありません。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1780年 噴火(噴火浅根から噴火)
・1880年 マグマ噴火またはマグマ水蒸気噴火?(噴火浅根から噴火。海中から泥土、灰を伴う火炎が噴出)
・1930年~1945年 マグマ噴火またはマグマ水蒸気噴火?(噴火浅根から噴火)
・1953年 海水変色
・1968年 海水変色
・1982年 海水変色
・1983年 海水変色
・1987年 海水変色
・1989年 海水変色
・1997年 海水変色
・1998年 海水変色
・1999年 海水変色
・2000年 海水変色
・2001年 海水変色
・2002年 海水変色
・2003年 海水変色
・2007年~2017年 海水変色、気泡湧出
・2021年 海水変色
・2021年 噴火?(噴煙と思われる雲域を確認されたが、噴火に伴うとみられる変色水及び浮遊物等は認められなかった)
硫黄島


硫黄島(中硫黄島)は東京から南に約1250km、父島から約280kmのところに位置し、水深2000m以深からそびえる直径40km以上の後カルデラ火山体の頂上部です。北東〜南西方向に8.5km、幅4.5kmの島で、南西端の摺鉢山(標高:170m)及び北東部の元山(標高:115m)の2つの火山と、その間の千鳥ケ原から成り、面積は29.86km2 です。島の各地に硫気と地熱地域があり、島の隆起が続いており、マグマの供給が続いていると推測されています。
戦前は1100人の島民が暮らしていましたが、太平洋戦争の激化により、昭和19年の夏に軍属として徴用された男性103名を残して、島民は本土へ強制疎開させられました。返還から50年以上が過ぎても、旧島民の帰島はなされていません。現在は、海上自衛隊硫黄島航空基地隊と航空自衛隊硫黄島基地隊等の部隊が駐留しています。
過去1万年間では、2900~2800年前に元山でマグマ噴火がありました。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1889年または1890年 水蒸気噴火(千鳥ヶ穴から噴火。長径50mの火口形成)
・1922年 水蒸気噴火(西海岸旧噴火口から噴火)
・1935年 水蒸気噴火(千鳥ヶ原滑走路の南西端付近から噴火)
・1944年 水蒸気噴火(北の鼻のマッドピットから噴火)
・1957年 水蒸気噴火(ごく小規模)(千鳥ヶ原滑走路の南西端付近から噴火)
・1967年 水蒸気噴火(小規模)(ミリオンダラーホールから噴火)
・1968年 水蒸気噴火(元山噴気孔から噴火。泥水噴出)
・1969年 水蒸気噴火(ミリオンダラーホールから噴火)
・1975年 泥噴出(ミリオンダラーホールから泥噴出)
・1978年 水蒸気噴火(阿蘇台陥没孔から噴火)
・1980年 水蒸気噴火(北の鼻泥噴地から噴火)
・1982年3月 水蒸気噴火(井戸ヶ浜から噴火。火砕物降下)
・1982年12月 海水変色
・1993年 海水変色、熱
・1994年 水蒸気噴火(離岩温泉跡から噴火)
・1999年 水蒸気噴火(阿蘇台陥没孔から噴火)
・2001年9月 水蒸気噴火(硫黄島の南東沖約200m地点で噴火。火砕物降下)
・2001年10月 水蒸気噴火(井戸ヶ浜から噴火。火砕物降下)
・2004年 水蒸気噴火(阿蘇台陥没孔から噴火)
・2007年 泥噴出
・2012年 水蒸気噴火(ごく小規模)、噴気異常、海面変色(ミリオンダラーホールから噴火)
・2013年 水蒸気噴火(ごく小規模)、海面変色(ミリオンダラーホールから噴火)
・2014年 泥噴出
・2015年 水蒸気噴火(ごく小規模)、噴気異常(井戸ヶ浜から噴火)
・2016年 水蒸気噴火(ごく小規模)(井戸ヶ浜から噴火)
・2017年 泥噴出
・2018年2月、3月 水蒸気噴火(ごく小規模)(馬背岩付近から噴火)
・2018年9月 海底噴火(翁浜沿岸で海面から5~10mの高さまで海水が噴出)
・2019年 泥噴出・噴石(馬背岩から南に約500mで泥流状噴出物や噴石)
・2020年 水蒸気噴火(ごく小規模)(阿蘇台陥没孔から噴火)
・2021年8月、9月 噴火(翁浜沖で噴火)
・2021年11月 噴火(漂流木海岸付近で噴火)
・2022年 噴火(翁浜沖で噴火。噴火に伴いマグマが放出されたと推定)
常時観測火山のひとつです。
北福徳堆
北福徳堆(最浅水深:55m)は南硫黄島と硫黄島の中間付近に位置する海底火山で、北西から南東に連なる3つの瀬をもつ別名海勢場と呼ばれる高まりです。1937年ころから2001年にかけて時々変色水等が観測されています。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1937年 海水変色、火山ガス
・1947年~1959年 マグマ噴火あるいはマグマ水蒸気噴火
・1988年 噴煙(漁船から海底火山の爆発により、高さ約100mの噴煙を確認との報告)
・2001年 海水変色
福徳岡ノ場

福徳岡ノ場は南硫黄島の北東約5km にある海底火山で最浅水深は25mです。浮遊軽石を伴う噴火がしばしばあり、1904~1905年、1914年、1986年、2021年には新島を出没させましたが、いずれも海食によって消滅しました。2021年の噴火では最大16000mの噴煙柱が発生し、多量の軽石が海流にのって南西諸島に漂着しました。福徳岡ノ場の山頂部は、1.5km×1kmの北東〜南東方向に伸びた楕円形で、頂部の北側には2005年及び2010年の噴火で形成された直径約200m、深さ約30mの複数の火口が600mに渡り連なっていることがわかっています。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1904年~1905年 マグマ噴火あるいはマグマ水蒸気噴火(福徳岡ノ場で噴火。高さが145m、周囲が約4.5kmでほぼ円形の新島ができたが、やがて礁岩になる)
・1914年 マグマ噴火あるいはマグマ水蒸気噴火(福徳岡ノ場で噴火。高さが300m、周囲が約11.8kmの新島ができたが、翌々年には消滅)
・1973年~1974年 噴火、海水変色(福徳岡ノ場で噴火。硫黄状のものが流出)
・1986年 マグマ水蒸気噴火、海水変色(福徳岡ノ場で噴火新島ができたが消滅)
・1992年~1993年 海水変色→マグマ噴火あるいはマグマ水蒸気噴火→海水変色(福徳岡ノ場で噴火。硫黄状のものが流出)
・2005年~2007年 海水変色→マグマ噴火あるいはマグマ水蒸気噴火(小規模)
・2010年~ 噴火、海水変色(福徳岡ノ場で噴火。硫黄状のものが流出)
・2021年~ 噴火、海水変色(福徳岡ノ場で噴火。8月に噴火があり、噴煙高度は16000m以上に達する。直径約1kmの馬蹄型の新島ができ、噴火による浮遊物が漂流。新島の面積は徐々に減少し、2022年3月には消滅した。各地の沿岸での浮遊物の漂着がニュースになる)
南日吉海山

南日吉海山は東京から南に約1330km、硫黄島から南南東に約150kmにある海底火山で、基部径が約19km、比高が約1300m、最浅水深が99mの中央火口丘を有する円錐状の成層火山です。頂部には北西〜南東方向に並んだ2つの火口からあり、北西側の火口内及び火口縁上に火口丘が形成されています。
1975年以前の噴火の記録はありません。1975年8月と1976年2月に海面の盛り上がりや爆発音を伴う海底噴火があり、1976年12月には硫黄の湧出、1977年、1992年、1996年に変色水が観測されています。1996年以降は目立った活動がありません。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1975年 噴火(海底噴火)
・1976年2月 噴火(海底噴火。爆発音あり)
・1976年12月 海水変色(硫黄湧出)
・1977年 海水変色
・1978年 海水変色
・1992年 海水変色
・1996年 海水変色
日光海山

日光海山は東京から南に約1380km、硫黄島から南南東に約210kmにある海底火山で、基部の水深が3000~3300m、海底からの比高が約2900m、頂部水深が612mです。山体からは熱水が噴出しています。
有史以降の火山活動は次のとおりです。
・1979年 海水変色(約500mの扇状形の薄い緑色の変色水が確認された)
まとめ
この記事をまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
気象庁 活火山総覧 第4版
気象庁ホームページ
海上保安庁ホームページ
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