はじめに
台風は時には水不足を解消する恵みの雨をもたらすこともありますが、その規模や経路によっては大きな災害をもたらします。それは強風であったり、大雨であったりし、建物の倒壊や損傷、浸水被害、崖崩れ、河川の堤防の決壊、交通網の麻痺などさまざまです。

この記事では過去の台風の上陸直前の中心気圧についてまとめます。
日本上陸時の中心気圧
台風はその中心気圧が低いほど(数字が小さいほど)勢力が強く、被害をもたらす危険性が増します。歴代の台風で上陸時の中心気圧が低い順に並べると次のようになります。
第1位 1961年 台風第18号(第二室戸台風)
1961年の台風第18号(第二室戸台風)は9月16日の9時過ぎに高知県の室戸岬の西に上陸し、その時の中心気圧は925hPa(歴代の第1位)でした。上陸前の12日から13日にかけては中心気圧が900hPa未満と猛烈な強さの台風でした。
暴風による被害が大きく、室戸岬で最大風速が66.7m/s(最大瞬間風速は84.5m/s以上)を観測したほか、大阪で最大風速が33.3m/s(最大瞬間風速は50.6m/s)、和歌山で最大風速が35.0m/s(最大瞬間風速は56.7m/s)、新潟で最大風速が30.7m/s(最大瞬間風速は44.5m/s)でした。
この台風による主な被害は、死者・行方不明者が48人、負傷者が396人、住家の全壊が336棟、半壊が1,448棟、床上浸水が3,770棟などでした。

第2位 1959年 台風第15号(伊勢湾台風)
1959年の台風第15号(伊勢湾台風)は9月26日の18時頃に和歌山県の潮岬の西に上陸し、その時の中心気圧は929hPa(歴代の第2位)でした。
上陸後、6時間余りで本州を縦断し、富山市の東から日本海に抜け、東北地方北部に再上陸後、太平洋側に出ました。勢力が強く暴風域も広かったため広い範囲で強風が吹き、伊良湖(愛知県渥美町)で最大風速が45.4m/s(最大瞬間風速は55.3m/s)、名古屋で最大風速が37.0m/s(最大瞬間風速は45.7m/s)を観測しました。伊勢湾奥部では観測史上最大の3.55mの高潮が発生し、多くの死者・行方不明者が出ました。
この台風による主な被害は、死者が4,697人、行方不明者が401人、負傷者が38,921人、住家の全壊が40,838棟、半壊が113,052棟、床上浸水が157,858棟、床下浸水が205,753棟でした。

第3位 1993年 台風第13号
1993年の台風第13号は9月3日の16時頃に鹿児島県薩摩半島南部に上陸し、その時の中心気圧は930hPa(歴代の第3位)でした。
九州南部を通り、愛媛県八幡浜市付近に再上陸、広島県福山市付近に再々上陸し、中国地方を横断後、山陰沖に抜けました。九州を中心に大雨が降り、宮崎県日之影町で540mm、大分市で414mm、臼杵市で370mm、鹿児島県垂水市で324mmの日降水量を観測しました。また、鹿児島県枕崎で最大風速が29.2m/s(最大瞬間風速は55.6m/s)、種子島で最大風速が29.8m/s(最大瞬間風速は59.1m/s)、宮崎で最大風速が27.4m/s(最大瞬間風速は57.9m/s)でした。
この台風による主な被害は、死者・行方不明者が48人、負傷者が396人、住家の全壊が336棟、半壊が1448棟、床上浸水が3,770棟でした。

第4位 1951年 台風第15号(ルース台風)
1951年の台風第15号(ルース台風)は10月14日の19時頃に鹿児島県串木野市付近に上陸し、その時の中心気圧は935hPa(歴代の第4位)でした。
この台風は10月9日にグアム島の西海上で発生し、宮古島と沖縄本島の間を通って東シナ海に入り、串木野市付近に上陸しました。その後、九州を縦断し、山口県・島根県を経て日本海に出て、北陸・東北地方を通って15日夕方に三陸沖に抜けました。勢力が強く暴風半径も非常に広かったため、全国各地で暴風が吹き、九州、四国、中国地方の所々で大雨となり、山口県では土砂災害や河川の氾濫が相次ぎました。
この台風による主な被害は、死者が572人、行方不明者が371人、負傷者が2,644人、住家の全壊が24,716棟、半壊が47,948棟、床上浸水が30,110棟、床下浸水が108,163棟でした。

第5位 1955年 台風第22号(ルイーズ台風)
1955年の台風第22号(ルイーズ台風)は9月29日の22時頃に鹿児島県薩摩半島に上陸し、その時の中心気圧は940hPa(歴代の第5位)でした。
この台風は21日にグアム島の北東海上で発生し、29日に藤摩半島に上陸後急速に衰え始め、福岡市の北東から海上に抜け、10月1日に北海道を通過しました。
この台風による主な被害は、死者・行方不明者が79人、負傷者が365人、住家の全壊が6,593棟、半壊が13,912棟、流失が210棟、一部破損が72,559棟、焼失が7棟、床上浸水が153棟、床下浸水が51,908棟でした。

第5位 1964年 台風第20号
1964年の台風第20号は9月24日の17時頃に鹿児島県佐多岬付近に上陸し、その時の中心気圧は940hPa(歴代の第5位)でした。
24日に鹿児島県佐多岬付近に上陸後、宮崎市付近から日向灘に抜け、高知県宿毛市の北に再上陸し、瀬戸内海から若狭湾に抜け、さらに川内市の北方を通って三陸沖に抜けました。
屋久島(鹿児島県)では24日に最大風速が50.2m/s(歴代の第7位)を観測しました。
この台風による主な被害は、死者・行方不明者が56人、負傷者が530人、住家の全壊が3,184棟、半壊が7,175棟、流失が79棟、全焼が3棟、半焼が1棟、一部破損が60,828棟、床上浸水が9,388棟、床下浸水が35,363棟でした。

第5位 1965年 台風第23号
1965年の台風第23号は9月10日の8時頃に高知県安芸市付近に上陸し、その時の中心気圧は940hPa(歴代の第5位)でした。
6日に沖ノ鳥島の東海上で発生した台風第23号は、10日に強い勢力で高知県安芸市付近に上陸し、上陸後もあまり衰えずに近畿地方を縦断して日本海を進み、10日に渡島半島南部に再上陸しました。室戸岬で最大風速が69.8m/s(最大瞬間風速は77.1m/s)、徳島で最大風速が35.8m/s(最大瞬間風速は67.0m/s以上)、洲本で最大風速が38.8m/s(最大瞬間風速は57.0m/s)でした。室戸岬での最大風速(69.8m/s)は歴代の第1位です。
この台風による主な被害は、死者・行方不明者が73人、負傷者が883人、住家の全壊が1,234棟、半壊が2,916棟、流失が20棟、一部破損が59,266棟、床上浸水が8,152棟、床下浸水が41,474棟でした。

第5位 1971年 台風第23号
1971年の台風第23号は8月29日23時半頃に鹿児島県大隅半島に上陸し、その時の中心気圧は940hPa(歴代の第5位)でした。
29日に鹿児島県の佐多岬に上陸し、その後南国市に再上陸し、大阪湾、紀伊半島を進んだ後、東海道沿岸を通り、房総半島を横切って銚子付近から鹿島灘へ抜けました。
この台風による主な被害は、死者・行方不明者が44人、負傷者が103人、住家の全壊が88棟、半壊が182棟、流失が14棟、一部破損が1,098棟、床上浸水が13,948棟、床下浸水が108,342棟でした。

第5位 1991年 台風第19号
1991年の台風第19号は9月27日の16時過ぎ に長崎県佐世保市の南に上陸し、その時の中心気圧は940hPa(歴代の第5位)でした。
27日に佐世保市に上陸後、佐賀県中央部、福岡市付近、北九州市付近、山口県北西部を通過し、日本海へと進み、28日8時前に北海道へ再上陸後、北海道を横断してオホーツク海に抜けました。台風は非常に強い勢力で上陸し、勢力をほぼ維持したまま速い速度で北上したため、全国で猛烈な風となり、 那覇で最大風速が29.1m/s(最大瞬間風速は50.1m/s)、長崎県野母崎町で最大風速が45m/s、長崎で最大風速が25.6m/s(最大瞬間風速は54.3m/s)、広島で最大風速が36.0m/s(最大瞬間風速は58.9m/s)、石川県輪島市で最大風速が31.3m/s(最大瞬間風速は57.3m/s)、青森で最大風速が29.0m/s(最大瞬間風速は53.9m/s)などでした。また、 沖縄県喜屋武岬で9.54mの有義波高が観測されました。
この台風による主な被害は、死者が62人、負傷者が1,499人、住家の全壊・流失が506棟、半壊・一部破損が169,941棟、床上浸水が5,344棟、床下浸水が17,621棟でした。

第5位 2022年 台風第14号
2022年の台風第14号は9月18日の19時頃に鹿児島市付近に上陸し、その時の中心気圧は940hPa(歴代の第5位)でした。
14日3時に小笠原近海で発生し、17日3時には大型で猛烈な強さまで発達、台風は18日19時頃に大型で非常に強い勢力で鹿児島県に上陸後、19日朝にかけて九州を縦断しました。その後、中国地方から日本海を進み、20日4時過ぎに新潟県に再上陸し、20日9時に日本の東で温帯低気圧に変わりました。
この台風では次の8地点で最大風速の記録が更新されました(括弧内はそれまでの記録)。
島根県吉賀町 最大風速:16.8m/s(16.3m/s)
長崎県松浦市 最大風速:17.7m/s(16.5m/s)
佐賀県唐津市 最大風速:19.2m/s(16.8m/s)
熊本県益城町 最大風速:26.3m/s(26m/s)
熊本県あさぎり町 最大風速:19.9m/s(19m/s)
宮崎県小林市 最大風速:22.8m/s(22m/s)
宮崎県串間市 最大風速:22.9m/s(21m/s)
鹿児島県霧島市 最大風速:22.8m/s(20.4m/s)
また、次の35地点で最大瞬間風速の記録が更新されました(括弧内はそれまでの記録)。
兵庫県宍粟市 最大瞬間風速:27.1m/s(25.7m/s)
兵庫県姫路市 最大瞬間風速:33.7m/s(32.1m/s)
岡山県岡山市北区 最大瞬間風速:28.3m/s(24.7m/s)
岡山県玉野市 最大瞬間風速:30.3m/s(28.8m/s)
広島県三原市 最大瞬間風速:27.8m/s(27.3m/s)
島根県鹿足郡吉賀町 最大瞬間風速:29.3m/s(27.9m/s)
愛媛県四国中央市 最大瞬間風速:47.4m/s(34.5m/s)
愛媛県久万高原町 最大瞬間風速:28.4m/s(28.1m/s)
愛媛県鬼北町 最大瞬間風速:22.5m/s(20.3m/s)
高知県檮原町 最大瞬間風速:26.9m/s(22.1m/s)
高知県須崎市 最大瞬間風速:27.8m/s(25.9m/s)
山口県岩国市 最大瞬間風速:19.4m/s(18.2m/s)
福岡県宗像市 最大瞬間風速:29.3m/s(29.3m/s)
大分県豊後高田市 最大瞬間風速:32.5m/s(32.5m/s)
大分県杵築市 最大瞬間風速:27.4m/s(25.9m/s)
大分県国東市 最大瞬間風速:34.0m/s(31.9m/s)
大分県由布市 最大瞬間風速:29.8m/s(29.2m/s)
大分県竹田市 最大瞬間風速:26.0m/s(25.7m/s)
大分県佐伯市 最大瞬間風速:35.2m/s(33.3m/s)
大分県佐伯市 最大瞬間風速:50.4m/s(40.4m/s)
長崎県壱岐市 最大瞬間風速:32.7m/s(31.3m/s)
佐賀県唐津市 最大瞬間風速:44.1m/s(31.4m/s)
熊本県益城町 最大瞬間風速:38.1m/s(36.0m/s)
熊本県あさぎり町 最大瞬間風速:30.7m/s(25.8m/s)
宮崎県高千穂町 最大瞬間風速:29.8m/s(28.4m/s)
宮崎県日向市 最大瞬間風速:27.4m/s(26.7m/s)
宮崎県美郷町 最大瞬間風速:24.6m/s(22.5m/s)
宮崎県えびの市 最大瞬間風速:31.8m/s(28.6m/s)
宮崎県小林市 最大瞬間風速:41.1m/s(34.4m/s)
宮崎県串間市 最大瞬間風速:37.0m/s(36.0m/s)
鹿児島県霧島市 最大瞬間風速:39.6m/s(35.1m/s)
鹿児島県鹿屋市 最大瞬間風速:36.4m/s(31.6m/s)
鹿児島県志布志市 最大瞬間風速:37.0m/s(34.5m/s)
鹿児島県肝付町 最大瞬間風速:35.7m/s(33.7m/s)
鹿児島県屋久島町 最大瞬間風速:43.5m/s(42.6m/s)
この台風による主な被害は、死者・行方不明者が5人、負傷者が166人、住家の全壊が17棟、半壊が248棟、一部損壊が1,914棟、床上浸水が612棟、床下浸水が698棟でした。

まとめ
この記事をまとめます。
この記事は下記を参考にして作成しました。
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