日本の活火山(12) - 伊豆諸島(南) -

日本の活火山(12) - 伊豆諸島(南) - 火山噴火
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はじめに

世界には活火山が1500あると言われており、国別だと多い順にアメリカ(178)、ロシア(150)、インドネシア(140)、日本(111)、チリ(104)です。日本は4番目に多く、世界の約7%の火山があります。

かつては火山を「活火山」、「休火山」、「死火山」と分類していましたが、2003年に再定義され、活火山は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定義されました。

火山の分布図
日本の活火山の分布(出典:国土技術研究センター

この記事では日本の活火山をまとめます。

東京都の活火山

八丈島

八丈島
八丈島(出典:海上保安庁
八丈島
八丈富士
八丈島
八丈富士と八丈小島

八丈島は東京の都心から約286km南に位置する周囲が約51.3km、面積が69.11km2の島で、人口は約6700人です。東山(三原山)と西山(八丈富士)の2つの火山が接合したひょうたん型の島で、どちらも玄武岩を主とする成層火山で、標高は東山が700.9m、西山が854.3mです。

東山火山は10万年前から3700年くらい前まで活動し、2回以上のカルデラ形成がありました。最近1万年間は山腹から山麓にかけて発生した側噴火です。約1万年前から3700年前までの間に、軽石噴火が4回、スコリアの放出が1回、水蒸気爆発が1回ありました。
西山火山は1万数千年前に活動を始めました。山頂に直径約500mの火口があり、その中には溶岩丘があります。また、南東側の山腹と山麓部、東山火山との接合部の低地に20以上の側火山があり、海岸近くの低地にはマグマ水蒸気爆発によるタフコーン(火山の爆発的な噴火で生じた火口地形)があります。さらに、西山北方の海底には多数の火口列もあります。

有史以降の火山活動は次のとおりです。

・1487年  噴火(西山から噴火)
・1518年~1523年  マグマ噴火(西山山頂から噴火)
・1605年  マグマ噴火(中規模)(西山南東斜面割れ目火口列から噴火。火砕物降下、溶岩流発生)
・1606年  噴火(八丈島付近で海底噴火があり火山島が生成)
・1691年~1692年 地震
・1696年~1697年 地震
・2002年  地震・地殻変動 

常時観測火山のひとつです。

青ヶ島

青ヶ島
青ヶ島(出典:海上保安庁

青ヶ島は東京の都心から約360km南に位置する周囲が約9km、面積が5.96km2の島で、人口は161人(R6.10.1現在)です。伊豆諸島最南端の有人島でもあります。海底からの比高1100mの大きな火山の頂上部にあたり、黒潮の海食によってできた高さ250mもの断崖で囲まれている外輪山と内輪山のある複式の火山島です。標高は423mです。
島の北端部にやや古い黒崎火山があり、他は主成層火山です。主成層火山の頂部には直径1.5~1.7kmの大火口ないし小カルデラ(池の沢火口)があり、その中に中央火口丘の丸山火砕丘があります。

過去1万年間では、約3600年前に北西山腹で割れ目噴火があり、3000~2400年前の間に島の南東部にあった火口状の凹地を埋める溶岩流と降下スコリアが噴出(金太ヶ浦溶岩類)し、島の東部および北部に多量のスコリア(休戸郷すんどごう降下堆積物)が降下する噴火がありました。その後岩屑なだれが発生し、最終的に池の沢火口が形成されました。池の沢火口内では18世紀の噴火で降下スコリアと溶岩流が噴出し、丸山火砕丘が形成されました。

有史以降の火山活動は次のとおりです。

・1652年  噴火
・1670年~1680年  噴火(池の沢火口内(大池)から噴火)
・1780年  噴火(新火口が生成し、多量の湯が湧出。火孔増加、池増大、湯温上昇あり)
・1781年  噴火(池の沢火口内のみそねが崎から噴火)
・1783年  マグマ噴火(中規模)(池の沢火口内の複数の火口、丸山火砕丘から噴火。火砕物降下、泥流発生。噴石が島中に降り61戸が焼失し、死者が7人)
・1783年~1785年  マグマ噴火(中規模)(丸山火砕丘から噴火。溶岩流発生)
・1785年  マグマ噴火(中規模)(丸山火砕丘から噴火。火砕物降下、溶岩流発生。当時327人の居住者のうち130~140人が死亡、残りは八丈島に避難。以後50余年無人島となる)
・2012年  海水変色

火山災害は次のとおりです。

・1783年3月~4月  噴石により家屋61戸が焼失し、死者が7人
・1785年4月~5月  噴火により当時327人の居住者のうち130~140人が死亡し、残りは八丈島に避難

常時観測火山のひとつです。

ベヨネース列岩

ベヨネース列岩
ベヨネース列岩(出典:海上保安庁

東京の南方420kmに位置し、3個の烏帽子形の岩礁と数個の小岩礁からなり、海面下約1500m に基底をもつ海底火山のカルデラ(明神礁カルデラ。直径8km)の西縁です。標高は11mです。カルデラ内には中央火口丘である比高約650mの高根礁があり、カルデラ外輪山北東縁上には後カルデラ火山の明神礁を持つ複式火山です。カルデラ底は環状に分布し、水深は1000mを越えます。発見されたのは1846年で、名前は発見したフランス海軍の軍艦「ベヨネーズ」に由来しています。

有史以降の火山活動は次のとおりです。

・1869年  噴火(海底噴火)
・1870年  マグマ水蒸気噴火あるいはマグマ噴火(小島噴火。明神礁で噴火)
・1871年  噴火(海底噴火。明神礁で噴火)
・1896年  マグマ水蒸気噴火あるいはマグマ噴火(明神礁で噴火)
・1906年  マグマ水蒸気噴火あるいはマグマ噴火(明神礁で噴火。軽石浮流)
・1915年4月  マグマ水蒸気噴火あるいはマグマ噴火(海底噴火。明神礁で噴火。岩石噴出、噴煙あり)
・1915年6月  噴火(明神礁及び高根礁で噴火)
・1934年  海水変色(明神礁で海水が黄変)
・1945年  火山ガス(乳白色に海水が変色し、硫黄臭)
・1946年  マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火(明神礁で噴火。新島出没)
・1952年~1953年  マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火(明神礁で噴火。大爆発を伴う新島出現。降下火砕物、火砕サージ、溶岩ドーム、火砕物重力流、海上浮遊軽石あり。調査中の第5海洋丸が遭難し、31人が死亡)
・1954年  噴火(明神礁で噴火)
・1955年  噴火(明神礁で噴火)
・1957年  火山活動(ベヨネース列岩付近で海面に深海魚の死体が浮遊)
・1960年  マグマ水蒸気噴火(明神礁で噴火。噴煙が2000~3000m上がり、軽石が浮遊)
・1970年  マグマ水蒸気噴火(明神礁で噴火。噴煙、軽石浮遊あり)
・1971年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・1979年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・1980年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・1982年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・1983年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・1986年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・1987年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・1988年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・2017年  海水変色(明神礁で海水が変色)
・2023年  海水変色(明神礁で海水が変色)

火山災害は次のとおりです。

・1952年~1953年  調査中の海上保安庁水路部観測船第5海洋丸が遭難し、31名が殉職

須美寿島

須美寿島
須美寿島(出典:海上保安庁

須美寿島は青ヶ島の南方約110kmにある高さ136mの孤立した岩礁です。島の北側には直径10kmのスミスカルデラ(最深部969m)があり、スミスカルデラ中央部には比高約200m、頂部水深795mの小さな中央火口丘があります。須美寿島の北北東7kmにある水深7.7mの白根礁(複輝石ガラス質安山岩)は底径約2.5km の円錐形の火山で、スミスカルデラの形成後に形成された後カルデラ火山の1つです。須美寿島(カンラン石玄武岩)はスミスカルデラ形成以前の山体であると考えられています。
有史以降の火山活動は次のとおりです。

・1870年  マグマ噴火 または マグマ水蒸気噴火(海底噴火。須美寿島の北北東約5海里(白根)で噴火。小島出現)
・1916年  噴火(須美寿島の西端の海底で噴火。火砕物降下)
・1974年  海水変色(須美寿島北で海水変色)
・1975年  海水変色(須美寿島海岸付近で海水変色)
・1976年  海水変色
・1977年  海水変色
・1989年  海水変色(須美寿島海岸付近で海水変色)
・1991年  海水変色(須美寿島周囲で海水変色)
・1992年  海水変色(8月に須美寿島周囲で、10月に白根周囲で海水変色)
・1993年  海水変色(須美寿島周囲で海水変色)
・1994年  海水変色(須美寿島の東及び北側で海水変色)
・1995年  海水変色(須美寿島の北側、北東、南東及び南方で海水変色)
・1996年  海水変色(須美寿島南方で海水変色)
・1997年  海水変色(須美寿島の北側で海水変色)
・1998年  海水変色(須美寿島の西岸、北岸及び南岸で海水変色)
・1999年  海水変色(須美寿島の南岸で海水変色)
・2000年  海水変色(須美寿島周辺で海水変色)
・2001年~2002年  海水変色(須美寿島の北西岸、東岸で海水変色)
・2002年  海水変色(須美寿島の北西岸で海水変色)
・2003年  海水変色(須美寿島の西側の海岸線で海水変色)
・2005年  海水変色(須美寿島の南端で海水変色)
・2009年  海水変色(須美寿島の南端で海水変色)
・2010年  海水変色(須美寿島の南側で海水変色)
・2012年  海水変色(須美寿島の南端で海水変色)
・2014年  海水変色(須美寿島の北西側及び南東側で海水変色)
・2015年  海水変色(須美寿島周囲で海水変色)
・2016年  海水変色(須美寿島周囲で海水変色)
・2017年  海水変色(須美寿島の南側で海水変色)

伊豆鳥島

伊豆鳥島
伊豆鳥島
伊豆鳥島
伊豆鳥島(出典:海上保安庁
伊豆鳥島
伊豆鳥島の火口(出典:海上保安庁

伊豆鳥島は東京の南方約570kmにある周囲約6.5kmのほぼ円形に近い二重成層火山です。各種の動植物や地質鉱物の天然記念物に富んでおり、1965年には島全体が国の天然記念物に指定されました。標高は394mですが、海底からの比高は約800mです。島の北方の海底には鳥島カルデラと呼ばれる海底火山が存在し、伊豆鳥島はその海底カルデラの南縁部に位置しています。1902年に大噴火が発生し、125人の全島民が死亡しました。1965年に島の気象観測所が閉鎖されて以降は無人島となっています。

有史以降の火山活動は次のとおりです。

・1902年  水蒸気噴火(子持山西麓、兵庫湾、鳥島南西約2.5km地点の海底から噴火。中央火口丘が爆発で消失し、島の中央に大火口を生成。島の南西約1kmの海中及び島の北西岸でも爆発が起こり、後者は兵庫湾を形成。全島民125人が死亡)
・1939年  マグマ噴火(中規模)(硫黄山から噴火。火砕物降下、溶岩流発生。住民と海軍気象観測所の全員が撤退)
・1947年  気象観測所が設立され、火山観測開始
・1949年  地殻変動
・1952年  地震
・1956年~1958年  地殻変動
・1959年  地震
・1961年  地震
・1962年  地震
・1963年  地震
・1965年  地震(気象観測所が閉鎖し、無人島となる)
・1998年  水蒸気噴火(硫黄山火口南西縁に直径約35mの小火孔形成)
・2002年  水蒸気噴火マグマ水蒸気噴火マグマ噴火(硫黄山から噴火)

火山災害は次のとおりです。

・1902年8月  噴火により125人の全島民が死亡

孀婦岩

孀婦岩
孀婦岩

孀婦岩そうふがんは東京の南約660km、伊豆鳥島の南方約76kmに位置する黒色のカンラン石単斜輝石玄武岩からなる孤立突岩(高さ100m、東西84m、南北56m)です。孀婦岩を頂部とする地塊は東西約10km離れた比高1500~2000mの2つの山体で構成されています。孀婦岩の南西2.6kmには、水深240mで周囲からの120m程度の比高を有する火口があります。

有史以降の火山活動は次のとおりです。

・1902年  海水変色(孀婦岩の北方約500mで緑色の変色水)

まとめ

この記事をまとめます。

  • 伊豆諸島(南)の活火山には、八丈島、青ヶ島、ベヨネース列岩、須美寿島、伊豆鳥島、孀婦岩があります
  • 有史以降で噴火があったのは、八丈島、青ヶ島、ベヨネース列岩、須美寿島、伊豆鳥島です
  • 青ヶ島、ベヨネース列岩、伊豆鳥島では火山災害がありました

この記事は下記を参考にして作成しました。

気象庁 活火山総覧 第4版
気象庁ホームページ
海上保安庁ホームページ
内閣府防災情報のページ

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