台風の記録(2) 最大風速

台風の記録(2) 最大風速 台風
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はじめに

台風は時には水不足を解消する恵みの雨をもたらすこともありますが、その規模や経路によっては大きな災害をもたらします。それは強風であったり、大雨であったりし、建物の倒壊や損傷、浸水被害、崖崩れ、河川の堤防の決壊、交通網の麻痺などさまざまです。

台風イラスト
日本列島を襲う台風のイメージ

この記事では過去の台風の最大風速の記録についてまとめます。

最大風速

最大風速は10分間の平均の風速で、台風の強さの指標になる数値で、最大風速で階級分けします。

階級最大風速
強い33 m/s以上~44 m/s未満
非常に強い44 m/s以上~54 m/s未満
猛烈な54 m/s以上

また、台風においては最大風速が15m/s以上の範囲を強風域と呼び、その範囲の半径で台風の強さの階級分けをします。また、25m/s以上の範囲を強風域と呼びます。

階級風速 15 m/s以上の半径
大型(大きい)500 km以上~800 km未満
超大型(非常に大きい)800 km以上

この記事では、歴代の台風の最大風速の順位(各地点の観測史上1位の値を使っての順位)をまとめます。

第1位 1965年 台風第23号 室戸岬

1965年の台風第23号は9月6日に沖ノ鳥島の東海上で発生し、10日に強い勢力で高知県安芸市付近に上陸し、上陸後もあまり衰えずに近畿地方を縦断して日本海を進み、10日に渡島半島南部に再上陸しました。室戸岬で最大風速が69.8m/s(最大瞬間風速は77.1m/s)、徳島で最大風速が35.8m/s(最大瞬間風速は67.0m/s以上)、洲本で最大風速が38.8m/s(最大瞬間風速は57.0m/s)でした。室戸岬での最大風速(69.8m/s)は歴代の第1位です。

この台風による主な被害は、死者・行方不明者が73人、負傷者が883人、住家の全壊が1,234棟、半壊が2,916棟、流失が20棟、一部破損が59,266棟、床上浸水が8,152棟、床下浸水が41,474棟でした。

1965年台風第23号
1965年台風第23号の経路(出典:気象庁ホームページ

第2位 1966年 台風第18号(第2宮古島台風) 宮古島

1966年の台風第18号(第2宮古島台風)は8月31日にグアム島の西海上で発生し、9月5日9時頃に宮古島に達し、この頃最も発達しました。その後も北西に進み、7日9時前に中国大陸に上陸し、21時には弱い熱帯低気圧に変わりました。

9月5日9時において中心気圧が918hPaの最低気圧となり、中心付近の最大風速は65m/s、25m/sの暴風半径は南側200km、北側250kmになりました。宮古島(沖縄県平良市)では最大風速が60.8m/s(歴代の第2位)、最大瞬間風速が85.3m/s(歴代の第2位)でした。

この台風による主な被害は、負傷者が41人、住家の全壊が2,848棟、半壊が4,917棟、床上浸水が10棟、床下浸水が20棟でした。

1966年台風第18号
1966年台風第18号の経路(出典:気象庁ホームページ

第3位 1942年 台風第16号(周防灘台風) 雲仙岳

1942年の台風第16号(周防灘台風)は、8月21日にサイパン島東方約500kmの洋上で発生し、26日正午に南大東島の北東約100kmの洋上を通過、26日18時頃から北へ進路を変えて九州西岸に向かって北上、26日夜半頃から九州と四国で暴風雨となり、27日夕方に山口県に接近しました。九州~近畿地方に被害をもたらし、特に山口県では死者・行方不明者数が794人と大きな被害になりました。戦時中の気象管制で十分な情報が伝えられなかったために被害が大きくなったと言われています。

8月27日に雲仙岳(長崎県)で最大風速60.0m/s(歴代の第3位)を観測しました。

第4位 1961年 台風第18号(第2室戸台風) 伊吹山

1961年の台風第18号(第二室戸台風)は9月16日の9時過ぎに高知県の室戸岬の西に上陸し、その時の中心気圧は925hPa(歴代の第1位)でした。上陸前の12日から13日にかけては中心気圧が900hPa未満と猛烈な強さの台風でした。

暴風による被害が大きく、室戸岬で最大風速が66.7m/s(最大瞬間風速は84.5m/s以上)を観測したほか、大阪で最大風速が33.3m/s(最大瞬間風速は50.6m/s)、和歌山で最大風速が35.0m/s(最大瞬間風速は56.7m/s)、新潟で最大風速が30.7m/s(最大瞬間風速は44.5m/s)でした。

9月16日に伊吹山(滋賀県)で最大風速56.7m/s(歴代の第4位)を観測しました。

この台風による主な被害は、死者・行方不明者が48人、負傷者が396人、住家の全壊が336棟、半壊が1,448棟、床上浸水が3,770棟などでした。

1961年台風18号
1961年台風第18号(第二室戸台風)の経路(出典:気象庁ホームページ

第5位 2015年 台風第21号 与那国島

2015年の台風第21号は9月28日の日中に非常に強い勢力で石垣島地方、与那国島地方に接近し、与那国島地方に最も近づいた28日夕方には猛烈な勢力となりました。その後、台湾に上陸・通過し、台湾海峡を西北西に進み、29日に中国大陸に上陸しました。

与那国島では28日に最大風速が54.6m/s(歴代の第5位)を観測し、また、28日15時41分には最大瞬間風速81.1m/s(歴代の第4位)を観測しました。

この台風による主な被害は住家の全壊が10棟、半壊が27棟、一部破損が285棟などでした。

2015年台風第21号
2015年台風第21号の経路(出典:気象庁ホームページ

第6位 1977年 台風第5号 石垣島

1977年の台風第5号は9月30日15時に宮古島の南方海上で「中型で非常に大きな台風」に発達し、石垣島南西海上から西表島に上陸し、台湾北部をかすめて中国大陸に上陸しました。八重山群島の島々は暴風雨、波浪、高潮によって大きな被害を受け、死者・行方不明者が6人、負傷者が6人、住家の全壊が182棟、半壊が267棟、一部損壊が1,189棟、床上浸水が120棟、床下浸水が120棟でした。

石垣島では31日に最大風速が53.0m/s(歴代の第6位)を観測しました。

1977年台風第5号
1977年台風第5号の経路(出典:気象庁ホームページ

第7位 1964年 台風第20号 屋久島

1964年の台風第20号は9月24日の17時頃に鹿児島県佐多岬付近に上陸し、その時の中心気圧は940hPa(歴代の第5位)でした。その後、宮崎市付近から日向灘に抜け、高知県宿毛市の北に再上陸し、瀬戸内海から若狭湾に抜け、さらに川内市の北方を通って三陸沖に抜けました。

24日に屋久島(鹿児島県)で最大風速50.2m/s(歴代の第7位)を観測し、25日に宇和島(愛媛県)で最大瞬間風速72.3m/s(歴代の第7位)を観測しました。

この台風による主な被害は、死者・行方不明者が56人、負傷者が530人、住家の全壊が3,184棟、半壊が7,175棟、流失が79棟、全焼が3棟、半焼が1棟、一部破損が60,828棟、床上浸水が9,388棟、床下浸水が35,363棟でした。

1964年台風20号
1964年台風第20号の経路(出典:気象庁ホームページ

第8位 1949年 台風第2号(デラ台風) 那覇

1949年の台風第2号(デラ台風)は南西諸島に沿って北東に進み、6月20日に沖縄、奄美大島、屋久島を通過し、23時過ぎに鹿児島市付近を通過後九州を北上し、対馬海峡に出て朝鮮半島の東で停滞し、温帯低気圧に変わりました。台風と梅雨前線の活動により九州、四国、近畿、東海などでは日降水量が200mm以上の大雨となった所があり、被害は九州から東北地方までの広い範囲に及び、鹿児島県で特に大きな被害となりました。また、愛媛県の宇和海で多数の漁船の遭難や、門司・高浜(松山市)航路の旅客船「青葉丸」の沈没により死者・行方不明者が132人の被害がありました。

20日に那覇で最大風速49.5m/s(歴代の第8位)を観測しました

この台風による主な被害は、死者が252人、行方不明者が216人、負傷者が367人、住家の全壊が1,410棟、半壊が4,005棟、床上浸水が94,627棟、床下浸水が52,926棟などでした。

第9位 2003年 台風第14号 下地島

2003年の台風第14号は9月6日にマリアナ諸島近海で発生し、10日21時に宮古島の南東海上で中心付近の最大風速が55m/s の「猛烈な台風」になり、11日3時には中心気圧が910hPaになりました。そして、11日5時前に宮古島を通過し、東シナ海、朝鮮半島、日本海を通り、13日には北海道に接近、14日朝には温帯低気圧になりました。

11日に下地島(沖縄県)で最大風速49m/s(歴代の第9位)を観測しました。

この台風による主な被害は、死者が3人、負傷者が110人、住家の全壊が18棟、半壊が87棟、一部損壊が1,437棟、床上浸水が72棟、床下浸水が303棟などでした。

2003年台風第14号
2003年台風第14号の経路(出典:気象庁ホームページ

第10位 2010年 台風第11号 志多阿原

2010年の台風第11号は9月15日に沖縄地方の南で発生し、先島諸島へ接近後、台湾に上陸し、中国大陸に再上陸しました。八重山地方では全世帯の約半分が停電し、台湾と華南地方を中心に大きな被害をもたらしました。

この台風で志多阿原(沖縄県)では19日に最大風速48.9m/s(歴代の第10位)を観測しました。

2010年台風第11号

番外編 台風以外での最大風速

台風以外では下記のような大きな最大風速を観測しています。

・1942年4月5日に富士山(静岡県)で最大風速が 72.5m/s
・2001年1月7日に剣山(徳島県)で最大風速が 55.0m/s
・1952年4月15日に寿都(北海道)で最大風速が 49.8m/s

まとめ

この記事をまとめます。

  • 過去の台風の最大風速についてまとめました。
  • 第1位は 69.8m/s(室戸岬)です
  • 第2位は 60.8m/s(宮古島)です
  • 第3位は 60.0m/s(雲仙岳)です
  • 第4位は 56.7m/s(伊吹山)です
  • 第5位は 54.6m/s(与那国島)です

この記事は下記を参考にして作成しました。

気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
防災科研ホームページ
気象庁ホームページ
防災科研ホームページ
山口県ホームページ
気象庁ホームページ
内閣府防災情報のページ
防災科研ホームページ
防災科研ホームページ
気象庁ホームページ
気象庁ホームページ
防災科研ホームページ

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